コミュニティエネルギーの投資拡大

再生可能エネルギーの多様なオーナーシップに向けて

IRENA Coalition for Action Community Energy Working Group

このレポートは、IRENA Coalition for Action のコミュニティエネルギーに関するワーキンググループのメンバーが共同で作成したものです。いくつかのケーススタディをもとに、コミュニティエネルギーのベストプラクティスを反映した政策手法や金融メカニズムを紹介し、コミュニティエネルギーの開発を加速する方法について政府や金融機関に提言しています。

Stimulating investment in community energy

Broadening the ownership of renewables

IRENA Coalition for Action

元レポート 2020年

日本語翻訳 2021年

寄稿者

Hans-Josef Fell and Charlotte Hornung (Energy Watch Group), Rohit Sen (ICLEI – Local Governments for Sustainability), Shota Furuya (Institute for Sustainable Energy Policies), Monica Oliphant (International Solar Energy Society), Anna Skowron (World Future Council), Stefan Gsänger (World Wind Energy Association), and Stephanie Weckend, Emma Åberg, Kelly Tai and Anindya Bhagirath under the guidance of Rabia Ferroukhi (IRENA).

謝辞

Malte Zieher (Bündnis Bürgerenergie); Erik Christiansen (EBO Consult); Johan Hamels (Ecopower); Rainer Hinrichs-Rahlwes (European Renewable Energies Federation); Vasilios Anatolitis and Jan George (Fraunhofer Institute for Systems and Innovation Research); Molly Walsh (Friends of the Earth Europe); Ana Amazo (Guidehouse); Eco Matser (Hivos); John Farrell (Institute for Local Self-Reliance); David Renné (International Solar Energy Society); Jan-Gerald Andreas (KfW Development Bank); Ousmane Ouattara and Ibrahim Togola (Mali-Folkecenter Nyetaa); Elizabeth Doris (National Renewable Energy Laboratory); Leire Gorroño-Albizu (Nordic Folkecenter for Renewable Energy); Harry Andrews (Renew); Josh Roberts and Dirk Vansintjan (REScoop.eu); Glen Estill (Sky Generation Inc.); Luke Wilkinson (Sustainability Victoria); Patrick Devine-Wright (University of Exeter); Paul Gipe (Wind-Works); Anna Leidreiter (World Future Council); Timo Karl (World Wind Energy Association); Sergio Oceransky (Yansa Group); Melani Furlan, Lin Herenčić, and Boris Pavlin (Zelena energetska zadruga); and Diala Hawila, Emanuele Bianco and Costanza Strinati (IRENA).

Steven Kennedy edited and Myrto Petrou designed the report.

日本語翻訳

古屋将太(監修)、岩田美奈子、上田稜真、大仁田千晶、金子新之介、サマラ・サニ

IRENA Coalition for Action (2020), Stimulating investment in community energy: Broadening the ownership of renewables, International Renewable Energy Agency, Abu Dhabi.

本レポートは “Stimulating investment in community energy: Broadening the ownership of renewables” ISBN:978-92-9260-291-8” (2020) の非公式な日本語翻訳版です。英語オリジナル版と日本語版で相違がある場合は、英語版の記述が優先されます。

1. コミュニティエネルギー:インパクトのある投資

COVID-19パンデミックは、世界のエネルギーミックスを永続的に変化させる可能性のある復興政策を後押ししています。一部の政府は、より野心的な気候変動へのコミットメントを発表していますが、他の多くの政府は、グリーンな復興に向けて決定的な行動を取るには至っていません。再生可能エネルギーは、本質的に順応的かつ分散型であり、より公平で、包括的で、レジリエントな経済を構築するのに役立つと同時に、エネルギー転換への市民参加を促進します(IRENA, 2020b)。

市民主導の再生可能エネルギープロジェクト(ここでは「コミュニティエネルギー」と呼ぶ)は、気候と持続可能性の目標を達成する上での要であるとともに、地域の社会的・経済的繁栄を促進し、COVID後の復興に大きな役割を果たします。

IRENA Coalition for Actionは、コミュニティエネルギーを「村、市、地域レベルの再生可能エネルギープロジェクトへの市民や定義されたコミュニティのメンバーによる経済面・運営面での参加と所有権」と定義しています[1]

地域社会のエネルギー開発に対する多様なアプローチは、世界中で見られます。成功したアプローチは、プロジェクトの直接的な社会的・経済的便益(再生可能エネルギー発電による収益や雇用の創出)につながるだけでなく、地域のより広範な社会経済的発展に貢献します(電力へのアクセスの拡大など)。

コミュニティエネルギープロジェクトは、電力、冷熱、輸送分野にまたがって見られますが、Coalition for Action のコミュニティエネルギー・ワーキンググループが作成したこの白書は、電力分野におけるコミュニティエネルギーの取り組みを活性化し、持続させるための方策をレビューしたものです。市民やコミュニティによる再生可能エネルギーへの投資は多くの国でおこなわれていますが、世界レベルでの知識の交流は限られています。本稿では、ベストプラクティスを反映した政策手法や資金調達メカニズムを紹介し、コミュニティエネルギー開発を加速させ、その恩恵を享受する方法について、政府や金融機関に提言することで、そのギャップを埋めます。

多くの公的・民間投資家が、その実践において環境・社会的パフォーマンスを優先するようになってきています。それにもかかわらず、支援的な政策枠組とそれを可能にする市場環境がないことが、コミュニティエネルギーへの投資を活性化する上での大きな障壁となっていることに変わりはありません。本稿で報告された知見は、コミュニティがすでに手頃な価格で低コストの資金調達が可能な国であっても、公的支援と電力市場・送電網への非差別的アクセスがコミュニティエネルギー開発において重要な役割を果たしていることを示しています。

コミュニティエネルギーのための具体的な政策目標を設定することに加えて、政策立案者は、安定的で予測可能で非差別的な政策環境を提供することで、さらなる投資を喚起することができます。民間資本を調達するために、クラウドファンディングのような革新的な代替資金調達メカニズムがコミュニティのニーズを満たすために登場しています。民間資本が不足している場合、コミュニティは公的助成金やその他の支援スキームに頼って事業を開始することが多くなります。金融界は、中小規模の再生可能エネルギープロジェクトのための融資やエクイティ出資へのアクセスを容易にし、コミュニティエネルギー投資家間のパートナーシップの構築を支援することで、さらなる投資を支援することができます。

次の章では、コミュニティエネルギーの本質的な便益と、プロジェクトへの資金調達を求めるコミュニティが直面する障壁を探ります。第3章では、世界中のコミュニティエネルギー開発を形成する政策手法を調査します。第4章では、コミュニティエネルギープロジェクトがどのように資金調達しているのか、公共・民間のアクターが果たす役割について概観します。第5章では、コミュニティエネルギーへの投資を可能にするための重要なポイントをまとめます。付録として、世界各地のコミュニティエネルギーイニシアティブの9つのケーススタディをまとめています。

[1] IRENA Coalition for Action(2018年)の白書「コミュニティエネルギー:再生可能エネルギーの所有権の拡大」では、コミュニティエネルギーを以下の要素のうち少なくとも2つの要素を組み合わせたものと定義しています:(1)地域の利害関係者が再生可能エネルギープロジェクトの大部分または全部を所有していること、(2)意思決定がコミュニティを基盤とする組織にあること、(3)社会的・経済的便益の大部分が地域に配分されていること。

2. コミュニティエネルギーの便益と投資の障壁

コミュニティエネルギープロジェクトは、関係するコミュニティに大きな利益をもたらすだけでなく、社会にも幅広い利益をもたらす可能性があります。しかし、コミュニティエネルギーの潜在能力を十分に発揮するためには、さらに多くの投資が必要です。投資を妨げ続けている規制、金融、制度上の障壁を取り除くことで、より多くのコミュニティがエネルギー転換に貢献できるようになります(IRENA Coalition for Action, 2018)。

2.1 コミュニティエネルギーは包摂的なエネルギー転換を支援する

コミュニティエネルギープロジェクトには、市民やコミュニティが、電力の生産者、配給者、販売者として、また、消費者として参加します。プロジェクトは、社会的、経済的、環境的、制度的にコミュニティに利益をもたらす可能性があり、その利益の多くは社会全体に波及します(図1参照)。コミュニティや社会がコミュニティエネルギーの恩恵を受けられる範囲は、地域の政治的枠組み、所有権モデル、その他の要因によって異なります。

図1. コミュニティエネルギーの潜在的なメリット

図1. コミュニティエネルギーの潜在的なメリット

コミュニティエネルギーは、投資、雇用創出、福利厚生の充実を通じて地域に社会経済的価値を付加します。再生可能エネルギーをベースとしたエネルギーシステムへの転換は、COVID-19 パンデミックからの経済回復において重要な役割を果たします(IRENA, 2020b)。コミュニティが所有する再生可能エネルギープロジェクトは、地元の施工業者を雇用し、地元の企業・サービス・商品に再投資する可能性が高いため、特に重要であり、その結果、地域のレジリエンスを支えることになります(Gancheva et al, 2018)。さらに、成功しているコミュニティエネルギープロジェクトは、多くの場合、人材育成やスキル開発に投資し、地域住民が設備を維持・運用できるようにすることで、再生可能エネルギーのバリューチェーン全体に沿った雇用を創出しています(Callaghan and Williams, 2014)。プロジェクトの収益は、病院などの公共施設に再投資されたり、建物の改修に使われたり、他の再生可能エネル ギーやエネルギー効率化プロジェクトに投入されるケースもあります(IZES, 2015)。最後に、コミュニティエネルギープロジェクトは、大気、水質、土地の汚染や温室効果ガスの排出量の削減を通じて、健康面の改善など、福利厚生の創出に役立ちます。

コミュニティエネルギーは、エネルギーコストの低下と価格の確実性を高めることで、エネルギー安全保障を向上させます。再生可能エネルギーの発電は、地元で所有・管理されている場合、化石燃料に依存していることが多い外部のエネルギー供給者からのエネルギーの独立性を高めることが可能であり、変動するエネルギー価格の影響を軽減し、コストを節約することができます。また、コミュニティエネルギープロジェクトは、(余剰の)再生可能エネルギーを売却することで長期的に収入を得ることができます。株主は、恵まれない地域の人々に低コストの電力を提供し、それによってエネルギー貧困を削減することを選択することができます(Friends of the Earth Europe and REScoop.eu, 2017)。また、節約分をコミュニティ全体で共有することもできます。

コミュニティエネルギーは、市民主導のイノベーションを通じて、再生可能エネルギーへのアクセスを拡大します。発展途上国や一部の先進国では、多くの農村部や遠隔地のコミュニティが、手頃な価格で信頼性の高いエネルギーへのアクセスに苦労し続けています。コミュニティエネルギープロジェクトは、アクセスを拡大し、サービスの信頼性を向上させ、気候変動への耐性を構築し、新たな生産活動の可能性を高め、生計を向上させる革新的なビジネスモデルと技術的ソリューションを生み出してきました(IRENA, 2020c)。このような草の根のイノベーションは、再生可能エネルギーの開発と利用を拡大し、既存のエネルギーアクセスの取り組みを補完することで、より広範なエネルギー転換に大きく貢献します(Callaghan and Williams, 2014; Ornetzeder and Rohracher, 2012; Rogers et al).

コミュニティエネルギーは、エネルギーシステムへの参加を広げ、再生可能エネルギーに対する認識と受容を拡大します。意思決定プロセスにコミュニティメンバーが参加し、関与することで、導入計画・建設・管理における透明性と包摂性を高めることができます。投資や発生した収入の使用や分配について集合的な決定をおこない、地域経済やエネルギー資源を直接管理することで、コミュニティはより広範な自律性のもとで自治を達成することができます。また、コミュニティエネルギープロジェクトへの市民出資は、再生可能エネルギー開発に対するより積極的な姿勢を育むことができます(Bauwens and Devine-Wright, 2018)。これらすべての参加形態は、市民の所有感とコミュニティの一体感を高めるだけでなく、エネルギー転換に対する意識・受容・積極的な支持を高めることができます(IRENA, 2020c; Renn, 2014)。

2.2 投資を活性化するための障壁がコミュニティエネルギーの成長を阻んでいる

コミュニティエネルギー開発は、規制・金融・制度面での障壁に直面し続けています。障壁の性質や程度は、プロジェクトや国によって異なりますが、プロジェクトの規模によっても異なります。小規模なプロジェクトや組織ほど、ここに挙げたような課題に直面しがちです。

全体として、コミュニティエネルギーには、他の再生可能エネルギープロジェクトの構造や慣行とは一線を画す独特の特徴があります。これらの特徴には、分散型組織への依存度が高いこと、エネルギー開発の経験が浅いコミュニティメンバーによるボランタリーな貢献、集団投資への信頼などが含まれます(図 2 参照)。これらの違いにより、特に小規模なプロジェクトでは、資金面での実行可能性を確立したり、第三者からの融資を受けたりすることが困難になっています。

図2. コミュニティの投資を拡大する上での潜在的な障壁

図2. コミュニティの投資を拡大する上での潜在的な障壁

コミュニティエネルギーとその便益は、まだ広く理解されておらず、受け入れられていません。コミュニティエネルギーとその便益についての認識・理解・支援が限られているため、政策立案者、資金提供者、市民からの賛同を得ることは難しいかもしれません。利害関係者は、自然エネルギーが常にベースロード をカバーできるかどうかに疑問を抱いたり、新技術に不安を抱いたりすることがあります。また、さまざまな理由から、より一般的には協調的なビジネスモデルに不信感を抱いたり、反対したりすることもあります(Brummer, 2018)。コミュニティエネルギープロジェクトに対するこれらの偏見は、地域の市民や外部投資家からの投資やその他のリソースを活用するために幅広い支持が必要である一般市民の間での不信感を増大させる可能性もあります。

再生可能エネルギーの政策枠組みは、中央集権的な大規模プロジェクトを中心に構成されています。従来のエネルギー市場の構造や規制の枠組みは、ほとんどが中央集権的で大規模なエネルギー発電を中心に設計されています(IRENA, 2020e)。政策立案者はコミュニティエネルギーを議題に入れていないことが多く、コミュニティエネルギーを(意図せずとも)差別するような政策の実施につながる可能性があります。例えば、中小規模のアクター(コミュニティなど)は、入札に参加する際に不釣り合いなリスクを背負うことになるため、入札参加者の多様性は阻害され、コミュニティが置き去りにされています。そのため、地域は、投資の不確実性の高さゆえに計画づくりも困難になるという不利な状況に置かれています(Brummer, 2018)。

コミュニティエネルギープロジェクトは、資本や外部資金へのアクセスが限られている場合があります。多くの国では、コミュニティエネルギープロジェクト、特に初期段階の支援を必要とするプロジェクトにおいて、従来の資金源からの資金確保がいまだに課題となっています(Caramizaru and Uihlein, 2020; Haggett and Aitken, 2015)。一定規模以下のコミュニティエネルギープロジェクト[2] は、銀行取引コストが高く、投資収益率が限られているため、商業金融機関の関心を引き付けられないことがあります。

さらに、借入やエクイティ投資による資金調達は、一般的に利益を得ることを目的としています。社会経済的・環境的価値の創出に焦点を当てたコミュニティエネルギープロジェクトでは、地元の商業金融機関からの借入融資を引き付けるのに十分な利益が得られないことがあります。また、担保要件を満たすことができないコミュニティは、商業金融機関からの融資を確保することが難しいかもしれません(Ottinger and Bowie, 2015)。

個人やコミュニティのリスク特性は、民間企業のそれとは異なります。多くの国では、再生可能エネルギーへの市民主導型の投資はおこなわれていません。それは、政策の枠組みが、個別プロジェクトへの投資においてコミュニティが直面するリスクを考慮していないからです。個人が投資をする際に直接直面し、晒されることが予想されるリスクがあるように、コミュニティのメンバーは、コミュニティエネルギープロジェクトへの初期投資に消極的になるかもしれません。さらに、再生可能エネルギー開発をはじめたばかりのコミュニティの多くは、単一のプロジェクトを開発しています。複数プロジェクトを開発中の企業とは異なり、これらのコミュニティは、プロジェクトのポートフォリオ全体にリスクを分散させることができません。資金の確保が難しく、単一のプロジェクトに依存しているため、プロジェクト開発の初期段階で発生する費用や支出をカバーするのにも苦労しています(Brummer, 2018)。これらの要因のすべてが、最終的にコミュニティエネルギープロジェクトの開発を遅らせることになります。

コミュニティエネルギープロジェクトは、再生可能エネルギープロジェクトを立ち上げるための知識や能力、経験が不足している市民のボランタリーな取り組みや関与に依存していることが多い。既存の民間商業デベロッパーは、プロジェクトの提案書や事業計画書の作成に経験があり、銀行や機関投資家との既存の関係を持っているものの、多くの場合、コミュニティには再生可能エネルギー開発の実績がなく(Haggett and Aitken, 2015)、関連する支援体制へのアクセスに困難を抱えています(Avelino et al., 2014)。 これらの要因は、コミュニティエネルギーの初期開発と長期的な資金調達の両面で課題を複雑にしています。

[2] コミュニティエネルギーは、大規模なものから小規模なものまで、さまざまな規模で実施することができます。例えば、ヨーロッパのいくつかの協同組合は、ギガワット規模の再生可能エネルギープロジェクトに投資しています。

3. コミュニティエネルギー投資のための環境整備

第2章で述べたような障壁を克服するには、コミュニティエネルギーの未開発の可能性を市民やコミュニティの利益につなげることができるような枠組みを整える必要があります。投資を喚起するには、被差別的な政策枠組みのもとで、地域コミュニティを含むあらゆるタイプの投資家へ市場のアクセスを提供しなければなりません。

このような枠組みには、コミュニティエネルギープロジェクトの市場参入を促進する規制措置、その資金調達を支援する金融措置、地域コミュニティが再生可能エネルギープロジェクトを開発するために必要なスキルや知識を習得することを支援する行政措置などが含まれます。ある国や地域で提案されている支援枠組みは、その地域の制度的環境やより広範な社会経済的目標を踏まえて検討される必要があります。

3.1 コミュニティエネルギー成長のカギを握るのは政府の支援政策と立法措置

すべての再生可能エネルギープロジェクトがそうであるように、コミュニティエネルギーを実現するためには、安定的で予測可能かつ非差別的な政策枠組みが重要となります。欧州連合のように、コミュニティエネルギーの開発を促進するための法的枠組みの構築を義務付ける以外にも(コラム1参照)、政府はさまざまな個別施策を実施し、既存の政策を調整することで、コミュニティエネルギーの開発を促進することができます。

再生可能エネルギー支援制度は、すでにさまざまな国で多数存在し、実施されています。表1で示す通り、既存の再生可能エネルギー政策のなかには、コミュニティエネルギー開発を促進するように調整したり、設計することができるものがあります。第一に、再生可能エネルギーを促進する政策環境は、一般的にコミュニティエネルギーにとっても有効です。より具体的な手段として、コミュニティエネルギーのためのサブターゲットの設定、再生可能エネルギープロジェクトのための地元所有権割り当ての設定などが考えられます。

非差別的に設計されているため、政府が設定する固定価格買取制度(FIT)は、小規模なコミュニティエネルギープロジェクトを含む再生可能エネルギー市場の成長を支援する上で非常に効果があります。最近では、複数の顧客がオフサイトプロジェクトから生成された課金クレジットを共有できるようなバーチャルネットメータリングという制度も登場しており、サブスクリプションベースのコミュニティエネルギープロジェクトの成長を促進しています(IRENA, 2019a)。

デンマーク、ドイツ、日本などの国におけるFITから入札制への移行から、コミュニティエネルギープロジェクトの困難が増すことが明らかになっています。入札制の主な特徴として、契約の保証がないまま先行投資が必要とされる入札手続きや事前適格要件などがあり、コミュニティエネルギー事業主体の財務リスクを不釣り合いに高めています(Fell, 2019; IRENA, 2019b; WWEA, 2019)。そのため、コミュニティエネルギー事業主体は、契約を獲得できる可能性が高い入札プロセスに限定して参加する可能性が高くなる恐れがあります(例えば、最低入札額が唯一もしくは主要な基準ではない場合)。

一部の国では、新規の小規模プレイヤーを優遇し、地元の雇用を創出し、自治体の発展に貢献し、地域コミュニティを巻き込むことを目的とした要素を取り入れ、入札制を設計しています(IRENA, 2019b)。コミュニティエネルギープロジェクトを義務化するクォータや優遇ルール、大規模な民間投資家の関与に対する法的制限、コミュニティ参加に対するボーナス支払いなどの政策設計要素は、コミュニティエネルギープロジェクトの成長に貢献します。しかし、ドイツの事例研究(付録参照)は、意図しない結果を回避し、意図した結果を得るためには、入札制を慎重に設計し、実施し、評価する必要があることを示唆しています。コミュニティエネルギーと入札制のかかわりには、依然として幅広く課題があり、コミュニティエネルギーを促進するためには、入札制の設計をさらに調整することが必要です。

コミュニティエネルギーを目的とした法律や政策は、望ましい結果を確実にするために、市民や地域コミュニティとの早期かつ緊密な協議のもとに策定されるべきです。行政手続きを合理化し、人材育成の機会を提供することは、コミュニティの関与とプロジェクトの実施にとって重要です。政府は、知識の壁を取り払う上で、ワンストップショップなどのさまざまな施策によって、コミュニティエネルギーに対する市民の意識を高め、ベストプラクティスを広め、事業開発プロセスを支援し、コミュニティと資金源を結びつけることができます。政府は、コミュニティが長期的に再生可能エネルギーを開発できるように、人材育成・研修の機会を提供することもできます。

最後に、政府は、コミュニティエネルギープロジェクトの資金調達を支援するために、財務・金融的インセンティブを提供することができます。例えば、直接的な支援として、補助金、融資、リボルビングファンド、税制優遇措置などがあります。公的資金調達手法については、第4章のコミュニティエネルギープロジェクトへの資金調達で解説します。

3.2 コミュニティエネルギーのための政策デザイン

多くの国ではすでに再生可能エネルギーに関する野心的な目標と支援政策が実施されていますが、包括的なエネルギー転換を確実なものにするために、コミュニティや市民の参加を向上させる余地は十分にあります。

政府は、再生可能エネルギー政策を調整することにより、コミュニティエネルギーへの投資をより効果的に支援することができます。表1に示すように、コミュニティエネルギーを支援する政策は、基礎自治体から地方政府、国までさまざまな政府レベルで実施することが可能です。先進国では、これらの政策の多くがすでに系統連系型のコミュニティエネルギープロジェクトの支援に利用されていますが、他の地域での適用には、地域の事情に合わせた修正が必要となる可能性があります。最後に、政府は、金融機関、民間セクター、プロジェクトを開発したコミュニティ、その他の主要なステークホルダーと緊密に連携して、コミュニティエネルギープロジェクトへの投資の障壁を取り除く政策措置を設計し、実施しなければなりません。

コラム1

EU再生可能エネルギー指令および電力指令におけるコミュニティエネルギー

欧州連合(EU)におけるコミュニティエネルギーの発展は、歴史的に地域や国の法律によって推進されてきました。コミュニティエネルギーの取り組みは現在、西欧と北欧のいくつかの国で広まっていますが、東欧、中欧、南欧では比較的少数に留まっています。2020 年時点で、ドイツには 1,750件のエネルギーコミュニティ(再生可能エネルギーコミュニティを含む)があり、デンマークには 700件、オランダには 500件、さらに欧州全体で数百のコミュニティが存在すると推定されています(Caramizaru and Uihlein, 2020)。さらに、EU内では約 3,500件の再生可能エネルギー協同組合が運営されています(RESCoop MECISE、2019年)。

欧州委員会の新しいクリーンエネルギーパッケージ(2019年承認)は、EU加盟国に対し、コミュニティエネルギーの発展を促進するための法的枠組みを構築することを義務付けています。「エネルギーコミュニティ」は、「市民エネルギーコミュニティ(citizen energy communities)」(改正内部電力市場指令 [EU] 2019/944)と「再生可能エネルギーコミュニティ(renewable energy communities)」(改正再生可能エネルギー指令 [EU]2018/2001)の正式な定義の下、2つのEUの立法文書で位置づけられています*

2 つの指令は、コミュニティエネルギープロジェクトが非差別的かつ適正な条件に基づいて市場で競争できるようにするための具体的な基準を定めたものです。加盟国は、コミュニティエネルギーを促進するため、両指令を国の枠組みに組み入れ、市場や規制上の障壁を取り除くことが求められています。

*「エネルギーコミュニティ」は、再生可能エネルギー事業に限定されるものではありません。エネルギーコミュニティは、「再生可能エネルギーを含む発電、配電、供給、消費、アグリゲーション、エネルギー貯蔵、エネルギー効率化サービス、電気自動車の充電サービスに従事することができ、また、その構成員や株主にその他のエネルギーサービスを提供することができます」(Electricity Market Directive [EU] 2019/944)。

4. コミュニティエネルギープロジェクトの資金調達

コミュニティエネルギーへの投資を拡大するには、コミュニティメンバー自身の貢献と、公的・民間からの外部資金の利用がカギとなります。公的資源は限られているため、コミュニティエネルギーセクターの成長は、コミュニティが民間の資金源にアクセスできるかどうかにかかっています。適切な状況下であればそれが可能であることを、本セクションで紹介する経験やケーススタディ(付録参照)で詳しく解説しています。

4.1 相互に関連するコミュニティエネルギーの所有権と資金調達

コミュニティエネルギーの所有構造と資金調達は密接に関連しています。プロジェクトの最適な資金調達の組み合わせは、プロジェクトの特徴(例:規模、技術)によるだけでなく、特に、コミュニティが望む所有モデルと自治のレベルに依存します。

表2は、コミュニティの人々が共同でエネルギー資産に投資し、所有するという一般的な所有モデルの概要を示しています。多くのコミュニティエネルギープロジェクトでは、コミュニティが所有権の多数をもつことを目指していますが、これを達成するには、地域の知識や資源(サービス、労働力、土地、資金など)が利用できるかどうかにかかっています。協同組合のようないくつかのモデルでは、所有権に直接的な意思決定がともないます。ほとんどの協同組合では、個人は組合の資本に投資し、貢献することが加入の条件となっています(International Co-operative Alliance, 2017)。

個人に加えて、従来型のエネルギー会社(例. 電力会社、小売事業者など)、非営利団体、自治体などのステークホルダーもコミュニティメンバーとして参加する場合があります。コミュニティがプロジェクト全体を所有していないモデルでは、これらステークホルダーがパートナーとしての役割を果たすこともあります。パートナーは、プロジェクトの一部を所有する以外にも、さまざまな方法で貢献することができます。例えば、自治体はインフラ(例. 公共施設の屋根など)をコミュニティエネルギープロジェクトで利用するための協定をコミュニティエネルギー事業者と結ぶことが可能です(Roberts, Bodman and Rybski, 2014)。

コミュニティオーナーシップモデルの多くは、エネルギープロジェクトのコストをカバーするために、コミュニティのメンバーからの拠出金や、外部の公的・民間の資金源からの融資など、複数の資金調達手段を利用します。図3は、プロジェクトの開発・建設のプロセスにおいて、コミュニティが利用できる外部資金の選択肢の概要を示したものです。小規模なプロジェクトであれば、コミュニティメンバーからの直接投資ですべての資金を調達できる場合が多くあります。また、補助金と融資の組み合わせが必要な場合もあります。大規模なプロジェクトでは、外部からのエクイティ出資に依存する可能性が高くなります。コミュニティエネルギープロジェクトのデット・エクイティ比率は、コミュニティ特有のリスクプロファイルや、コミュニティ運営が置かれている制度環境などの要因により、大きく異なります(Dukan et al., 2019; IEA-RETD, 2016b)。

図 3. コミュニティエネルギープロジェクトの外部資金調達の選択肢

図 3. コミュニティエネルギープロジェクトの外部資金調達の選択肢

利用可能な資金調達手段を増やすには、複数のコミュニティプロジェクトを束ねて、取引コストと投資リスクを軽減することが必要です。コミュニティエネルギープロジェクトは、多くの場合、プロジェクトファイナンスで資金を調達します。しかし、コミュニティが他の事業体とパートナーを組む場合、コーポレートファイナンスやバランスシートファイナンスによって支援されることもあります。プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトによって生み出されるキャッシュフローもしくはプロジェクトの資産価値から貸し手に返済する方法です。コーポレートファイナンスでは、債務不履行が発生した場合、貸し手が資金提供を受けた事業体のすべての資産と収益に対する完全償還請求権を持ちます。融資は、事業体の貸借対照表にもとづいて担保が設定されます(Yescombe, 2014)。

4.2 公的資金がコミュニティエネルギー投資をレバレッジする

コミュニティエネルギーのための公的な資金源には、政府、政府機関、開発金融機関(DFI)、その他の公的銀行、気候変動対策基金などがあります[3]

コミュニティの参加型意思決定を可能にする仕組みや、コミュニティや地域パートナーの技術的・財政的能力の向上、コミュニティが希望する場合のオーナーシップ獲得の機会提供などをともなっていれば、公的資金はコミュニティエネルギーを促進する可能性があります。

DFI と気候変動対策基金は、各国政府によって運営されており、開発を支援するための特定の指針を持っています。そのため、開発途上国のコミュニティエネルギープロジェクトへの投資を誘導する上で、重要な役割を担っています。金融機関は、中小規模の再生可能エネルギープロジェクトへの融資やエクイティ出資アクセスを改善するために、ターゲットを絞った施策をますます展開しています。このような施策には、再生可能エネルギープロジェクト向けに条件付きで市場金利よりも低い利率でおこなわれる融資(コンセッショナリーローン)や、地元の商業金融機関への貸し付けなどがあります。例えば、IRENA/Abu Dhabi Fund for Development Project Facility では、持続可能な開発に寄与する32の再生可能エネルギープロジェクトに対して、最長20年の融資期間と5年の猶予期間で3億5,000万米ドルのコンセッショナリーローンを割り当てています(IRENA, 2020a)。これらの公的融資措置はコミュニティエネルギープロジェクトに一部適用できるものの、コミュニティエネルギーのポテンシャルを完全に引き出すためには、さらなる調整が必要です。

一部のコミュニティでは、資本出資や外部からの融資を受けることが困難であり、多くの国では、銀行による融資検討が可能な水準までプロジェクトの収益性と実行可能性を高めるため、コミュニティエネルギープロジェクトを対象とした補助金支援がおこなわれています。オーストラリア、グアテマラ、日本、スコットランド(付録参照)の国・自治体や DFI は、初期段階のプロジェクト開発活動やプロジェクトの建設費用を賄うための補助金を支給しています。その一例が、太平洋島嶼国の小規模な再生可能エネルギープロジェクトを支援するための融資と補助金を提供するマルチドナーファンド Pacific Renewable Energy Investment Facility です。2017年から2019年にかけて、この機関で承認された8つのプロジェクトには、アジア開発銀行からの7,700万米ドル以上の補助金を含む、1億4,100万米ドル以上の融資が割り当てられました(ADB, 2020)。

公的資金が限られていることを考えると、融資やエクイティ投資による資金調達を活性化するために公的措置を戦略的に講じていかなければならない状況にあることがわかります(IRENA, 2016)。一部の国では、政治的・政策的・信用的・通貨的なリスクを軽減することで、商業金融機関がコミュニティエネルギープロジェクトに融資することをさらに促進するための補助金を導入しています。また、政府とDFI は、中小規模の再生可能エネルギーへの追加の民間投資を活性化するためのリスク緩和策を実施しています。例えば、商業金融機関が負担する潜在的な損失に対処するためのファースト・ロス・ローンやファースト・ロス・ギャランティーなどがあります(IRENA, 2016)。

コミュニティエネルギーへの追加投資は、リボルビングファンドを通じて支援することも可能です。フィリピンのミンダナオ州では、地域の経済発展を支援するために、アジア開発銀行が、コミュニティエネルギープロジェクトとリボルビングファンドに融資を提供してきました。融資を受けたプロジェクトや事業者の返済に応じて資金が補充されるため、再生可能エネルギーを生産活動に利用する他の事業者に新たな融資をおこなう機会が生まれます。したがって、リボルビングファンドは、コミュニティエネルギープロジェクトや地元企業のための長期的な信用源となりえます(付録参照)。

プロジェクトの資金調達(補助金、借入、資本金など)に加えて、エネルギーアクセスや地域開発プログラムへの投資を通じて、間接的にコミュニティエネルギーを支援することもできます。

エネルギーアクセス・イニシアティブをコミュニティエネルギーと結びつけることで、政府や DFI は、地域の社会経済発展にさらに拍車をかけ、長期的なコミュニティの成長を強化することができます。

「ラストワンマイル」の貧困コミュニティのためのエネルギーソリューションを支援する上では、現地の強力なエコシステムの中で、現地の金融機関を強化しながら、公的資金と民間資金を幅広く組み合わせていくことが重要な役割を果たします(Rajagopal, 2019)。例えば、responsAbility Investmentsは、欧州投資銀行、国際金融公社、英国国際開発省、ルクセンブルク政府などの官民パートナーと提携し、新興市場でエネルギーアクセスソリューションを提供する企業を支援するために、2020年初頭に2億米ドルのファンドを立ち上げました(responsAbility, 2020)。分散型エネルギーソリューションプロバイダー向けの公的プログラムは、コミュニティがエネルギーにアクセスするために必要な現場でのパートナーシップを構築することができれば、コミュニティエネルギーを支援する大きな可能性があります。

4.3 民間資金の活用が必要

コミュニティエネルギーのための民間資金源には、再生可能エネルギー開発事業者のほか、金融機関(商業銀行、ノンバンク金融機関、マイクロファイナンス機関など)や個人投資家(エンジェル投資家、ベンチャーキャピタリスト、プライベートエクイティ投資家など)が挙げられます。コミュニティエネルギーがよく認知され、投資形態が確立されている国(デンマークやドイツなど)のコミュニティは、民間から資金を調達できています。しかし、多くの国、特に発展途上国では、コミュニティが民間から資金を調達することには未だに困難があります。

公的資金により、再生可能エネルギープロジェクトにおいて民間資金がより重要な役割を果たすようになりましたが、民間からのコミュニティエネルギーへの直接投資は依然として限られています。

コミュニティの選択肢の一つとして、共同事業モデルを利用して資金調達をおこなう方法があります。コミュニティエネルギープロジェクトが民間の開発事業者と提携するモデルでは、開発事業者は、その実績と事業ポートフォリオの収入予測にもとづいてエクイティ出資をおこない、これによってプロジェクト資本の一定割合を調達します。例えば、英国では、スコットランドに設置された風力発電所15基のうち、コミュニティが1基の「仮想所有権」を得ることができるように、事業者である Falck Renewables とコミュニティを代表するフィントリー開発トラストが2007年に交渉し、Falck Renewables がトラストに資本を融資するという契約を結んでいます。この融資は、風車が発電した電力の販売を通じて15年間で返済されることになっています(Haggett et al., 2014)。

コラム2

インパクト投資

インパクト投資とは、測定可能な社会的・環境的インパクトを、投資収益と並行して意図的に生み出すことを目指すアプローチです(Global Impact Investing Network, 2020)。インパクト投資には様々な形態や手段があります。インパクトを優先させ、市場レート以下のリターンを生み出すアプローチもあれば、社会的利益に加えて投資家にとっての市場レートの投資収益を重視するアプローチもあります。インパクト投資は、新興国市場でも先進国市場でもますます普及しており、個人、非政府組織、財団、銀行、開発金融機関を含む幅広い公的・私的投資家を惹きつけています。

革新的な金融モデルやビジネスモデルは、コミュニティが必要とする初期投資、特に資本金を抑える上で役立ちます。Pay-as-you-go(PAYG)のビジネスモデルでは、コミュニティ所有分の資金を調達するため、民間パートナーがエクイティにレバレッジをかけます。コミュニティは、プロジェクトの収益(またはプロジェクトで実現したコスト削減分)を、相互に合意した期間にわたってパートナーに定期的に支払います。パートナーへの返済が完了すると、所有権はコミュニティに移ります(Muchunku et al, 2017)。PAYG モデルは、エネルギーソリューションをコミュニティに展開するために利用されています。例えば、社会的企業の Sosai Renewable Energies は、米国アフリカ開発財団からの助成金支援を受けて、2017年にナイジェリアのカドゥナ州にある2つの村でソーラーミニグリッドの展開に成功しました。このミニグリッドは、PAYG モデルを利用して800人以上の個人に電力を供給しています(IRENA, 2018)。

伝統的な銀行システム(規制された銀行や資本市場)外で開発されたオルタナティブ・ファイナンスは、コミュニティに別の潜在的な資金源を提供します。オルタナティブ・ファイナンスの一例として、プロジェクトや組織が多数の個人や事業体から資金を調達できるクラウドファンディングが挙げられる(Mollick, 2014)。プロジェクト企画者は、主にオンラインのシステムやチャネルを利用して一般の人々に企画を提示し、潜在的な資金提供者とかかわることができます(サハラ以南のアフリカにおけるクラウドファンディングについては、コラム3 を参照)。

クラウドファンディングのモデルは、資金提供者の主な投資動機と期待されるリターンにもとづいて区別されます。非投資型クラウドファンディング(寄付や報酬型クラウドファンディングなど)は、単一または複数のコミュニティエネルギープロジェクトの一部または全部の資金調達に活用されています。例えば、Citizens Own Renewable Energy Network Australia(corenafund.org.au)では、クラウドファンディングによる寄付金を利用して、コミュニティエネルギープロジェクトのためのリボルビングファンドを設立しています。

また、従来のデットファイナンスやエクイティファイナンスの手法を用いたアプローチもあります。その例は以下の通りです。

  • 投資家に債券を提供するピアツーピアの融資プラットフォーム:Abundance Investments (abundanceinvestment.com) は、再生可能エネルギー、エネルギー効率化、住宅分野のプロジェクトや事業への債券型投資を提供しています。
  • 投資家がプロジェクトの株式を取得できる株式プラットフォーム:Windcentrale (windcentrale.nl) はオランダを拠点とする組織で、クラウドファンディング・プラットフォームを通じて協同組合の風力発電導入を促進しています。
  • 借入金、株式、債券など、さまざまな投資オプションを提供するハイブリッド・プラットフォーム:Triodos Bank (triodoscrowdfunding.co.uk) はクラウドファンディング・プラットフォームを運営しており、社会的・環境的インパクトに取り組む組織からの債券や株式を投資家に紹介しています。

クラウドファンディングは、個人投資家がコミュニティエネルギーへのインパクト投資の機会にアクセスすることを容易にするだけでなく、政府やその他の主要なアクターが、地域コミュニティの支持を得ているコミュニティエネルギープロジェクトを特定し、そこに投資を誘導することも可能にします。

[3] 本稿では、DFI にはグローバル開発銀行、地域開発銀行、二国間開発機関、各国開発銀行が含まれます。

コラム3

アフリカ・サブサハラ地域でのクラウドファンディング

クラウドファンディングは、エネルギーへのアクセスを拡大するために自然エネルギーをベースとしたソリューションを展開する企業を含めて、中小企業が利用できる資金調達の機会を高める役割を果たしています。サハラ以南のアフリカ各地の家庭向けに従量制のソーラーホームシステムを提供する社会的企業 Pawame は、TRINE(trine.com)や Bettervest(bettervest.com)などのクラウドファンディング・プラットフォームを通じた資金調達に成功しています。2020年には、Pawame社がクラウドファンディングで借入をおこない、家庭向けのソーラーホームシステム2,300件を調達しました(Solar- Hom-Systeme für Kenia – Pawame, 2020)。

5. 政府や金融機関にとって重要なポイント

コミュニティエネルギーは、ポストコロナの復興対策に組み込まれた場合、社会経済的便益と地域の価値創造を最大化し、コミュニティを超えたより広範なレジリエンスを強化する未開発の膨大な可能性を提供します。本白書のケーススタディ(付録参照)から得られた以下の教訓は、政府、DFI、その他の金融機関が、コミュニティエネルギー投資を拡大するために政策を立案し、資金調達を活性化する方法についての指針となり、インスピレーションとなるでしょう。

コミュニティエネルギーに対する意識を高め、共通の理解を深める:コミュニティエネルギーの概念や、エネルギー転換においてコミュニティや市民が果たす役割について、より広く認識してもらう必要があります。コミュニティエネルギーに関する共通理解が広がることは、政府や金融機関がベストプラクティスを特定し、コミュニティエネルギー関係者の特殊性を反映した政策を立案し、資金を集めることを容易にします。コミュニティエネルギーの法的形態は国や地域によって異なるため、コミュニティエネルギーの厳密な定義を確立することは難しいかもしれません。しかし、所有権、意思決定、利益分配の最低要件など、一連の主要な特質を特定することは、コミュニティエネルギーとして適格であり支援の対象となるプロジェクトを特定する上で利用することができます。

市民参加と地域の社会経済的発展を重視した目標と政策設計を取り入れる:コミュニティは、大規模な商業的再生可能エネルギープロジェクトとコスト面で必ずしも競争できるとは限りませんが、 エネルギー転換への参加は、地域の社会経済的利益を最大化し包括的なものにするための重要な方法であると広く認識されています。より広範な開発目標を達成するための再生可能エネルギーの可能性を十分に理解するためには、政府はコミュニティエネルギーの目標を設定し、コミュニティエネルギーの代表者と協議し、小規模で新しい事業者の参加を可能にするような政策(例えば、FIT、入札制、補助金、税制上の優遇措置など)を打ち出すことが必要です。さらに、地域の社会経済的発展のポジティブな影響を強化するため、セクターカップリングやエネルギー効率化の取り組みを活性化させる政策枠組みを展開する必要があります。より広く言えば、政府は電力網へのアクセスに関する明確な政策を含め、コミュニティを含むすべての投資家がエネルギー市場に投資し、アクセスできるような非差別的な規制環境の確立に向けて取り組むべきです。

コミュニティエネルギーを支援するための専門機関またはワンストップショップを設立する:コミュニティエネルギープロジェクトは、再生可能エネルギープロジェクトを立ち上げたり、複雑な行政手続きを進めたりする際の専門知識や経験が乏しい個人によって開始されることが多いです。コミュニティエネルギーの認知度を高めることに加えて、専門機関(公的機関や非政府組織など)は、行政手続きを合理化したり、プロジェクトにおける提出書類のテンプレートを提供したり、その他の人材育成プログラムを提供したり、コミュニティに融資を提供したりすることで、コミュニティや市民を支援することができます。スコットランドの Community and Renewable Energy Scheme(CARES) は、コミュニティエネルギーへの投資に関心のあるコミュニティや市民のためのワンストップショップの一例です。

的を絞った公的資金によってコミュニティの資本へのアクセスを促進する:小規模なコミュニティエネルギープロジェクトでは、特にプロジェクト開発の初期段階では、融資や資本の調達が特に困難になることがあります。プロジェクト開発の過程で認識された、あるいは実際に発生したリスクにより、融資条件が不利になり、高いコストがかかってしまいます。政府や DFI、その他の公的金融機関は、補助金、リボルビングファンド、市場よりも低い金利でコンセッショナリーローンを設定したり、コミュニティエネルギープロジェクトのために地域金融機関に債務を貸し付けたりすることで支援を提供することができます。公的資金は、コミュニティエネルギープロジェクトのリスクを軽減する保証として提供することが可能であり、これによって、より低コストで銀行融資を受けることが可能となります。財政的・金融的インセンティブは、資本コストを削減することも可能にします。金融商品は、もっとも脆弱なコミュニティにとっても再生可能エネルギーが経済的に実行可能なものとなるように、コミュニティエネルギープロジェクトの特殊性や国や地域の状況に応じて調整されるべきです。

コミュニティエネルギープロジェクトともっとも脆弱な人々のための革新的な資金調達メカニズムとビジネスモデルを支援する:多くのコミュニティエネルギープロジェクトでは、融資へのアクセスが限られていることから、政策立案者や金融機関は、プロジェクトの所有権と支配権を維持しつつ、コミュニティエネルギーの特性を考慮に入れた革新的なエクイティ出資のメカニズムを支援することができます。土地の権利や労働力などのコミュニティの資産を資本に転換することができます。金融機関がグリーン投資の選択肢(債券や株式など)の提供を促進させるような規制環境は、コミュニティエネルギーを含む再生可能エネルギープロジェクトのコストを下げる可能性があります。さらに、革新的なビジネスモデルやクラウドファンディングのような代替的な資金調達メカニズムは、コミュニティと民間アクターの間の新たなパートナーシップ形成を支援することがでます。PAYG のような柔軟な支払い体系は、もっとも弱い立場にある人々を見落とすことなく、コミュニティ全体に電力を分配することに役立ちます。

その他の革新的な資金調達方法として、再生可能エネルギーへの投資手段を持たない市民がエネルギー転換に参加することを可能にするバーチャルネットメータリング(VNM)のようなサブスクリプション型モデルがあります。このような資金調達の仕組みやビジネスモデルは、コミュニティがプロジェクトの継続的な運用・保守費用をどのように調達するかについても考慮しなければなりません。

コミュニティエネルギープロジェクトのアグリゲーションと協働を奨励する:プロジェクトのバンドル化のようなアグリゲーションを通じたコミュニティ間のパートナーシップにより、小規模なコミュニティエネルギープロジェクトが、通常は大規模プロジェクトにしか利用できない資金調達スキームを利用できるようになります。プロジェクトを束ねることで、投資リスクを複数のプロジェクトに分散させることができるとともに、取引コストの削減にもつながります。コミュニティエネルギープロジェクトの集約を促進するため、政策立案者は、米国のコミュニティチョイスアグリゲーション政策に見られるような、コミュニティがパートナーシップを形成するための枠組みを作ることができます。また、アグリゲーションは、商業的な供給者から機器やサービスを購入する際のコミュニティの交渉力を強化します。例えば、コスタリカでは、4つの地域協同組合が、事業の収益性を高めるため Conelectricas というコンソーシアムを形成しました。

エネルギーアクセスと地域開発プログラムにコミュニティエネルギーを統合する:コミュニティエネルギープロジェクトは、生産的用途(農産加工施設、温冷蔵施設など)、特に遠隔地や農村部に位置する脆弱なコミュニティに対して、安価で信頼性の高いエネルギーへのアクセスを提供する上で、重要な役割を果たします。分野横断的な政策(例えば、生産的な設備や機器に対するコンセッショナリー融資)と組み合わせることで、コミュニティエネルギープロジェクトは、地域経済のより広範な発展にも貢献することができます。例えば、フィリピンのミンダナオ島では、コミュニティエネルギープロジェクトで生産された電力を活用して、生活活動を支援するためのリボルビングファンドが設立されました。エネルギーの生産的利用によって得られた収入は、投資家への返済に充てられるほか、エネルギー効率の向上やインフラの強化、さらなる再生可能エネルギープロジェクトの形成など、コミュニティが主導する他の活動に再投資することができます。

付録 I. 事例集:コミュニティエネルギー投資のための環境整備

Victoria, Australia

オーストラリア・ビクトリア州

主な特徴

  • コミュニティエネルギーに対する政府の補助金は、さまざまな再生可能エネルギープログラムを通じて管理されています。
  • 地域のワンストップショップは、コミュニティのスキルや知識へのアクセスを容易にし、融資検討が可能なプロジェクトと資金源を結びつけます。

オーストラリアでは過去10年間に、州や国レベルでのコミュニティエネルギーへの関心を反映して、多くのコミュニティエネルギー政策が登場しています(Parliament of Victoria Economic, Education, Jobs and Skills Committee, 2017)。2019年の時点で、オーストラリアには105件以上のコミュニティエネルギー団体があり、そのうち約50団体がビクトリア州を拠点に活動しています(Coalition for Community Energy, 2019)。

ビクトリア州政府は、2015年の再生可能エネルギーロードマップのもと、コミュニティエネルギーを推進するためのさまざまなプログラムを実施しました(State of Victoria Department of Economic Development, Jobs, Transport and Resources, 2015)[4]。コミュニティエネルギープロジェクトの開発を支援するために、ビクトリア州政府は、New Energy Jobs Fund、Community Renewables Solar Grants Initiative、Renewable Communities Programなどのイニシアティブを通じて助成金を支給しています。Renewable Communities Programでは、これまでに9つのコミュニティエネルギープロジェクトに80万米ドル以上の資金援助を行っています(Victoria State Government, n.d.)。

また、2017年から2019年にかけて、ビクトリア州政府は、3つの地域でコミュニティパワー・ハブを設立するためのパイロットプログラムにも資金を提供し、支援しました。各ハブは、地元の非営利団体や社会的企業が主催するもので、プロジェクトのアイデアを検証し、実行可能なアイデアを融資可能なプロジェクトに変え、資本と結びつけることでコミュニティを支援します(Community Power Hub, 2020)。この2年間で、ハブは15のコミュニティ・エネルギー・プロジェクトの資金調達と試運転を支援し、その合計容量は1.3MWを超えました。その過程で、約800万米ドルに相当する地域の社会経済的利益を生み出しています(Sustainability Victoria, 2019)。

ビクトリア州政府は、気候変動に取り組むコミュニティの取り組みを支援する方法を継続的に見極めています。ビクトリア州の2017年の再生可能エネルギーオークションスキームには、コミュニティの関与の証明を必要とする設計要素が盛り込まれています(IRENA, 2019b)。コミュニティエネルギーグループは、ビジネスケースの開発、フィージビリティスタディ実施のための政府の支援を歓迎していますが、補助金申請プロセスは負担が大きいと述べています(Parliament of Victoria Economic, Education, Jobs and Skills Committee, 2017)。その結果、寄付型のクラウドファンディングで資金調達することで、コミュニティエネルギーの資金調達のギャップを埋める草の根組織がオーストラリア各地で誕生しています[5]。2017年には、オーストラリア政府は、投資型クラウドファンディングの法的枠組みを確立することで、資金調達を目指す中小企業の障壁を下げました(Australian Securities & Investments Commission, 2019)。

[4] ロードマップには、「家庭・地域における再エネ発電、製品、サービス開発を奨励する」という約束が盛り込まれていました。
[5] 例えば、Citizens Own Renewable Energy Network Australia (corenafund.org.au) や People’s Solar (thepeoplessolar. pozible.com) を参照。
Denmark

デンマーク

主な特徴

  • 2009年から2020年までの間、風力発電プロジェクトは、地域の住民や企業に20%以上の所有権を提供することが求められていました
  • 電力の卸売市場価格に一定のプレミアムを上乗せする固定価格買取制度(フィードイン・プレミアム)による価格保証
  • 保証基金によって、地域の協同組合が所有する風力発電プロジェクトの予備調査費用を補完

デンマークは、1970年代から地域の再生可能エネルギーを支援するための規制を導入しており、現代のコミュニティエネルギー発祥の地と言えます。デンマークの第一段階の政策措置としては、風力発電プロジェクトの所有権をプロジェクトに近接した地域の主体に限定し、1人の投資家の最大所有率を制限したほか(Gorroño-Albizu, Sperling and Djørup, 2019)、風力発電事業からの収入に対する税の免除や固定価格買取の実施などがおこなわれました(Gancheva et al.2018)。地理的な投資対象は後に国全体に拡大され、それにより外部の民間所有が可能となりました。

1990 年代後半、デンマークは電力市場を自由化するための一連の政策改革に着手しました。当初、固定価格買取制度は廃止され、RPS(Renewable Portfolio Standard)が導入されましたが、数年後、政府はフィードイン・プレミアムを導入しました。しかし、プレミアムがプロジェクトを誘致するには低すぎる水準に設定されていたことや、地元住民の所有権要件が変更されたこともあり、2003年から2008年にかけて、コミュニティエネルギーを含む新規の風力発電プロジェクトはほとんど開発されませんでした。その結果、風力発電の容量はほとんど横ばいとなりました(IEA-RETD, 2016a)。こうした動きは、風力発電に対する地元の関心を低下させました(WWEA, 2018b)。

これらの改革が再生可能エネルギーの導入に悪影響を及ぼしたため、デンマークは2009年に政策の巻き返しを開始し、コミュニティエネルギー対策を部分的に強化しました。同年の「再生可能エネルギー推進法」では、風力発電事業者に対して、半径4.5km圏内に住む住民や企業に少なくとも20%の所有権を提供することが義務付けられました(Gancheva et al.,2018)。固定価格のプレミアムが引き上げられ、プロジェクトが再び経済的に成り立つようになりました。デンマーク政府は、風力エネルギープロジェクトの予備調査費用を削減するために、地元の共同事業者に助成金を提供する保証基金を創設しました(WWEA, 2018b)。これらの変化により、コミュニティエネルギーの活動が復活しました。

2016 年末までに、デンマークの設置済み風力発電容量の 52%が再びコミュニティの所有になりました(Gorroño-Albizu, Sperling and Djørup, 2019)。しかし、開発への大きなハードルが残っていました — すなわち、価格変動(Bauwens, Gotchev and Holstenkamp, 2016)、大規模な投資家との競争、地元の反対(Roberts, Bodman and Rybski, 2014)です。より最近の政策変更も、将来のコミュニティエネルギー開発に影響を与える可能性があります。2018年以降、太陽光や風力プロジェクトのフィードイン・プレミアムは、技術的に中立な再生可能エネルギーの入札を通じて与えられるようになり(Energistyrelsen, 2020b)、コミュニティがプロジェクトを獲得するためにはさらなる課題が生じています。さらに、2020年6月に再生可能エネルギー推進法が改正され、20%の地域所有要件が廃止されました(Energistyrelsen, 2020a)。

Germany

ドイツ

主な特徴

  • 2014年以前は、固定価格買取制度により20年間の固定価格での報酬が保証されていました
  • 2006年のドイツ協同組合法の改正により、エネルギー協同組合の設立が促進されました

市民主導の再生可能エネルギープロジェクトは、ドイツがエネルギー転換(Energiewende)で早期に成功した礎となっています。2018年、ドイツの発電量に占める再生可能エネルギーの割合は35%でしたが(IRENA, 2020f)、これはコミュニティベースの企業、グリーンスタートアップ、自治体の公益事業[6]、農家やその他の個人など、比較的小規模なアクターの参加が一因となっています。2020年上半期のドイツの総発電電力量の50%以上が再生可能エネルギーによるものと推定されています(Fraunhofer Institute for Solar Energy Systems, 2020)。ドイツ協同組合法の改正も、ドイツにおけるコミュニティエネルギーの台頭を支えました(Debor, 2014)。2019年時点で、約20万人の個人が約880のエネルギー協同組合にメンバーとして積極的に参加しており、その大部分が太陽光発電の生産に積極的に参加しています(DGRV、2020年)。

歴史的に見て、ドイツの再生可能エネルギー政策にはコミュニティエネルギーへの明確な支援は含まれていませんでしたが、コミュニティエネルギープロジェクトが一般的な投資形態になるための道を開いてきました。2000年に施行された再生可能エネルギー法(Erneuerbare Energien-Gesetz)は、ドイツのエネルギー転換(Energiewende)の重要な原動力とされています。この法律が、20年間の固定価格による買い取りと再生可能エネルギーの優先的な供給を定め、個人やコミュニティを含む多様なアクターの投資にもとづく、迅速かつ分散的な再生可能エネルギーの拡大を可能にしました。その結果、ドイツのコミュニティエネルギーの主要な法的形態であるエネルギー協同組合の新規設立数は、2011年には約170件に達しました。

しかし、全国的に固定価格買取制度から入札制に移行し、2014年と2016年に規制の枠組みが改定されたことで、ドイツでは新規のコミュニティエネルギープロジェクトの数が激減しました。ドイツ政府は、再生可能エネルギーの入札制に、コミュニティエネルギープロジェクトを対象とする優遇措置を導入しましたが、コミュニティエネルギーの定義が再生可能エネルギープロジェクトの議決権のみを考慮したものであったため、制定された法律は意図した効果を得ることができませんでした。2017年の入札で成功したプロジェクトのほとんどは、開発者主導のプロジェクトであり、コミュニティの関与は名ばかりでした(WWEA, 2018a)。2018年と2019年には、それぞれ14件と9件の新しいエネルギー協同組合が設立されただけでした。

入札制への政策転換は、コミュニティエネルギープロジェクトへの投資を減少させ、大規模な投資家に有利な新規プロジェクトを促進する役割を果たしているようです(Fell, 2019; WWEA, 2019)。その理由として考えられるのは、入札への参加にともなう煩雑な手続きの負担の重さや、(事前の資格要件などによる)財務リスクの増大、そして、より一般的には許認可プロセスの複雑さの増大などです。

[6] 近年のエネルギー公益事業の再公営化により、2005年から2016年の間に150件以上の新しい自治体公益事業(Stadtwerke)が設立され(Berlo, Wagner and Schäfer, 2018)、それにより、より地域に密着した意思決定環境が生まれ、エネルギーコミュニティの形成と連携が促進されています。
Japan

日本

主な特徴

  • 2012年に固定価格買取制度が導入されました
  • 2011年から2013年にかけて、国の補助金によるコミュニティエネルギー人材育成支援がおこなわれました
  • 自治体では、長野県の収益納付型補助金など、独自の支援制度がつくられています

日本のコミュニティエネルギーは、2000年代に入ってから、先駆的に行動をおこした人々から生まれはじめました(Furuya, 2016)。2011年3月の福島原子力発電所の事故と、日本の電力市場を開放するためのさまざまな政策措置にともなって、コミュニティエネルギーへの関心はさらに加速しました。

2012年、日本は世界最高水準のプレミアムをもつ初の固定価格買取制度を導入しました。また、この制度を利用した再生可能エネルギープロジェクトには、送電網への優先的なアクセスが認められました。固定価格買取制度に加えて、環境省は「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」のもと、コミュニティエネルギー事業の人材育成を目的とした3年間の助成プログラムを開始しました(Institute for Sustainable Energy Policies, 2014)。2011年から2013年にかけて、25のコミュニティが年間95,000米ドルの助成金を受け、地域のステークホルダーによって構成される協議会の開催や事業計画の策定などの支援を受けました(Furuya, 2016)。

国の補助金制度を受けて、いくつかの地方自治体では、地域エネルギー事業をさらに促進するための独自の支援プログラムを立ち上げています。長野県では、2013年に「自然エネルギー地域発電推進事業(収益納付型補助金)」を開始し、固定価格買取制度対象のコミュニティエネルギー事業の提案を募りました。2014年から2019年にかけて、33件のプロジェクトが合計270万米ドルの資金援助を受けています(長野県、2020年)。

日本ではコミュニティエネルギープロジェクトへの関心が大幅に高まっているものの、発電設備容量は2018年時点でわずか90メガワット(MW)に過ぎません(Yamashita, 2018)。いくつかの市町村や都道府県では、再生可能エネルギーやコミュニティオーナーシップの拡大が続いていますが、国は固定価格買取制度などの支援を縮小しています。2020年時点で、250kW以上のプロジェクトは入札に参加しなければならず(Colthorpe, 2020)、コミュニティエネルギーのさらなる展開に影響を与えています(Bellini, 2019; Yamashita, 2018)。

Scotland

英国・スコットランド

主な特徴

  • コミュニティエネルギーに明確な目標を設定
  • 英国では2010年から2019年まで実施されていた固定価格買取制度が、2020年にスマートエクスポートギャランティへ移行
  • 初期段階の活動とプロジェクトの開発の両方に対する専用の金融支援スキーム(補助金、融資)
  • 2015年まで、コミュニティエネルギープロジェクトへの投資家には、企業投資スキーム、シードエンタープライズ投資スキーム、社会投資税控除を通じて税控除を提供
  • コミュニティエネルギーは、ワンストップショップを通じた専門的なアドバイスとサポートを受けることができました

革新的で統合された地域のエネルギーシステムとネットワークを育成することでコミュニティを強化することは、スコットランドのエネルギー戦略の重要な優先事項のひとつとして認識されています(Scottish Government, 2017)。そのため、スコットランドでは、2020年までにコミュニティや地域が所有する再生可能エネルギー発電設備容量を1GWにするという明確な目標を設定しています。これは、スコットランドの当初の目標である50万kWを更新したもので、予想よりも3年早く達成し、上回ることができました。2030年には2GWの目標が設定されています(Energy Saving Trust, 2020)。

スコットランドのコミュニティエネルギーは、2010年に英国政府が導入した固定価格買取制度の恩恵を受けています。野心的なコミュニティエネルギー目標を達成し、コミュニティエネルギー開発を支援するため、スコットランド政府は2007年にチャリティ団体「Community Energy Scotland」を設立し、2011年には「Community and Renewable Energy Scheme(CARES)」を開始しました。Community Energy Scotland と CARES のもと、地元で所有する再生可能エネルギープロジェクトへの投資に関心を持つスコットランドのコミュニティグループ、地方自治体、企業は、プロジェクト開発のあらゆる段階でアドバイスとサポートを受けることができました。2013年以降、CARES は、国のエネルギー機関、環境団体、3つのソーシャルビジネスからなる政府出資のコンソーシアム「Local Energy Scotland」によって実施されています(Community Energy Scotland, n.d.; Local Energy Scotland, 2019a)。

CARES は、コミュニティグループに対して、融資、助成金による資金援助、専門家によるアドバイスをおこなっています(Energy Cities, 2019)。その主な支援内容は、(1)初期段階の活動に資金を提供するための最大33,000米ドルの助成金、(2)再生可能エネルギープロジェクトの開発費用に資金を提供するための最大200,000米ドルの開発ローンと助成金です(Local Energy Scotland, 2019a)。CARES はまた、事業の許認可を得たものの資金調達に課題を抱えるコミュニティエネルギープロジェクトを支援する「Energy Investment Fund」への資金申請も支援しています。このファンドはスコットランド投資銀行が提供しており、ケースバイケースの評価を通じて各コミュニティプロジェクトに合わせた融資サービスを提供しています。

スコットランドは、イギリスの他の地域よりもコミュニティエネルギーの成長率が高くなっています。2019年6月の時点で、スコットランドには20,000件以上のコミュニティや地元が所有する再生可能エネルギー発電プロジェクトがあり、約730MWの発電設備容量を占めています[8](Energy Saving Trust, 2020)。これまでのコミュニティエネルギープロジェクトの約20%は、CARES が提供する少なくとも1つのスキームの下で資金提供を受けています(Local Energy Scotland, 2019b)。

スコットランドでは、優遇された金融制度がコミュニティエネルギープロジェクトの開発を支えてきましたが、コミュニティエネルギーの成長には、有効な枠組みが不可欠であることに変わりはありません。スコットランドでは、2015年以降、コミュニティエネルギー投資家に対するさまざまな税制優遇措置の廃止や、固定価格買取制度の終了など、英国のエネルギー政策の変化が続いているため、新規プロジェクトが大幅に減少しています。コミュニティエネルギーの電気・熱発電容量の年間成長率は、2015年の37%から2018年には4%に減少しました(Edgar, Ahern and Williams, 2020)。

[8] 「コミュニティおよび地元所有(community and locally onwed)」という所有カテゴリには、コミュニティグループ(82MW)、農場/団地(290MW)、地方自治体(130MW)、スコットランドの地元企業(92MW)、住宅協会(70MW)、公共部門/慈善団体(67MW)が含まれます。
United States

米国

主な特徴

  • 米国のいくつかの州では、コミュニティエネルギーを促進するために、バーチャルネットメータリングやコミュニティチョイスアグリゲーション政策が実施されています。

米国におけるコミュニティエネルギー開発は、主に州の政策によって進められてきました。連邦政府による生産税や投資税の控除は、歴史的に再生可能エネルギー開発の重要な推進力となってきましたが、多くのコミュニティエネルギープロジェクトは、連邦所得税を支払っていない団体が所有しているため、これらのインセンティブの恩恵を受けることができません(Farrell, 2016)。米国では州によって電力規制制度は大きく異なり、国内のコミュニティエネルギープロジェクトの実施方法に影響を与えています。コミュニティエネルギーの所有モデルには、電力会社が主導するプロジェクト、特別目的事業体が所有するプロジェクト、非営利団体が組織して実施するプロジェクトなど、さまざまなものがあります(Heeter, Xu and Fekete, 2020)。

米国では、コミュニティエネルギープロジェクトを実現する上で、バーチャルネットメータリング(VNM)が重要な役割を果たしています。2020年の時点で、20の州とコロンビア特別区がコミュニティソーラープログラムまたはパイロットプロジェクトを立法化しており、そのすべてが、顧客が敷地外の再生可能エネルギープロジェクトの一部を購入またはリースし、プロジェクトで発電された電力のシェア分の請求クレジットを受け取ることを可能にする VNM を活用しています(Heeter, Xu and Fekete, 2020)[9]。2020年6月時点で、国内には 2.6GW 以上のコミュニティソーラープロジェクトが設置されており、総設備容量の約半分はマサチューセッツ州(436MW)、ミネソタ州(663MW)、ニューヨーク州(243MW)に集中しています(NREL, 2020)。ミネソタ州の成長は、VNM をベースとしたコミュニティソーラーガーデンのスキーム[10]によるものであり、太陽光発電が電力会社と電力ユーザーにもたらすメリット分が顧客に還元されています。このスキームが成功した主な要因のひとつは、このスキームに参加できる新規の太陽光発電設備容量に年間の上限を設けなかったことです(Paulos, 2019)。

また、2020年の時点で、9つの州がコミュニティチョイスアグリゲーション(Community Choice Aggregation, CCA)の法律を採択しています。CCA は、顧客の需要を集約し、電力を調達する権限を自治体に与えるものです(Farrell, 2020)。しかし、顧客の再生可能エネルギーに対する関心が高いにもかかわらず、カリフォルニア州とイリノイ州以外のほとんどの CCA は、地元の再生可能エネルギーを重視していません(O’Shaughnessy et al.、2019年)。これは、州の政策や営業エリアでの規制の有無によって、アグリゲーターが再生可能エネルギーを調達できるかどうかが大きく変わるためです。例えば、カリフォルニア州のアグリゲーターは、再生可能エネルギー開発者と直接長期契約を結ぶことができますが、規制緩和された州のアグリゲーターは、競争力のある供給者との短期契約によってエネルギーを調達します。これらの短期的な契約の期間は一般的に、供給者が地元の再生可能エネルギープロジェクトを開発するのに十分な投資回収見通しを提供しません(O’Shaughnessy et al. 2019)。

これは、VNM や CCA といった政策だけでは、コミュニティエネルギーの発展には十分ではないことを示唆しています。コミュニティエネルギーが発展している州では、VNM や CCA は、再生可能エネルギーの開発を支援する広範な政策パッケージの一部となっています。州と連邦レベルでの政策の整合性を高め、すべての再生可能エネルギープロジェクトにアクセスできる非差別的なインセンティブと組み合わせることで、国内のコミュニティエネルギー開発を加速することができるでしょう。

[9] VNM の主な目的のひとつは、太陽光発電に多いネットメータリングの恩恵を受けられない人々の参加障壁を減らすことです。
[8] ミネソタ州の法律は、同州最大の電気事業者にのみ適用されます。しかし、自治体や協同組合の電力会社、さらに少なくともひとりの投資家所有の電力会社は、独自のコミュニティソーラープログラムを開発しています(Chan et al., 2018)。

付録II. 事例集:コミュニティエネルギープロジェクトの資金調達

Mindanao

フィリピン・ミンダナオ島

主な特徴

  • アジア開発銀行の助成金を活用して、家庭での再生可能エネルギーサービスへのアクセスを拡大し、地域の経済開発イニシアティブのためのリボルビングファンドを設立

農村電化は、フィリピン政府の最優先課題のひとつです。電力アクセス率は首都圏では98%と高いものの、遠隔地では依然としてエネルギーアクセスに大きな問題を抱えています。ミンダナオ島では、2016年の電化率は74%となっています(Department of Energy (Philippines), 2017)。

ミンダナオ島の農村部での電力アクセスを向上させるため、2010年にアジア開発銀行は、エネルギー庁、NGO、電力協同組合、地域コミュニティと協力して、マイクロ水力発電プロジェクトの導入を支援し、家庭の電力アクセスや生活費の支払いを支援するリボルビングファンドを設立しました(Ludwig, 2015)。同行の「クリーンエネルギー融資パートナーシップファシリティ」にもとづく助成金から総額200万米ドルがこの取り組みに割り当てられました(ADB, 2016)。

発電プロジェクトを管理し、リボルビングファンドを運営するために、地元のコミュニティベースの組織が設立されました。彼らは、地元のNGOを含むさまざまな団体から、プロジェクトの運営やメンテナンス、金融に関するトレーニングを受けました。リボルビングファンドの管理では、農業生産や零細企業の創業を検討している世帯からの融資申請を監督・処理します。ファンドの最初のサイクルでは、約3カ月間で1,000〜6,820米ドルの融資が実行されました。ほとんどの場合、融資は1週間ごとに分割して返済されました(Ludwig, 2015)。

2015年までに、2つのマイクロ水力発電プロジェクト(合計55kW)が導入され、ネットメータリング契約の下で運用されています。リボルビングファンドの第1サイクルでは、すべての世帯の受益者がローンを返済することができました。また、このプロジェクトでは女性が大きな役割を果たしており、プロジェクトを運営するためのトレーニングを受けたコミュニティメンバーの4分の1以上を占めています。2016年の時点で、1,500世帯以上が再生可能エネルギーの電力を利用できるようになり、マイクロ水力発電プロジェクトを利用した中小企業が設立されるなど、地域経済の発展につながっています(ADB, 2016)。

このプロジェクトは、セクター横断的な政策に支えられたコミュニティエネルギーが、地域経済の発展に寄与する可能性を示しています。同様のモデルは、生産的な用途での電力需要が満たされていない他のコミュニティにも適用できます。

Guanacaste

コスタリカ・グアナカステ

主な特徴

  • 外国政府の融資と国の政府機関の支援を受けて電力協同組合を設立
  • 協同組合のコンソーシアムは、再生可能エネルギー事業への投資リスクを最小限に抑えることができます

1965年、コスタリカのグアナカステ州北西部の地域で、229人の地元の人々が、米国の「The Alliance for Progress」プログラムの資金援助を受けて、農村部の電力協同組合を設立しました。当時、電気を利用できるのは国民の約半数に過ぎず、電気利用率100%の達成はコスタリカ政府の最優先課題のひとつでした(Madriz-Vargas et al.2016; Teske, Morris and Nagrath, 2020)。

The Alliance for Progress は当初、グアナカステ協同組合を設立するために、3,000米ドルを1%の利子で融資しました(10年間の猶予期間を経て30年間で返済)。同協同組合は設立当初から、国営電力会社の ICE(Instituto Costarricense de Electricidad)とコスタリカ国立銀行の支援を受けています。この協同組合は、特定のエリアで事業をおこなう認可を得ており、そのエリアで発電された電力は、すべて国営電力会社に販売された後、エンドユーザーに再販売されなければなりません。

この融資により、グアナカステ協同組合は、コンセッションエリアを国の送電網に接続するための配電線を建設しました。当初は ICE が技術支援をおこないましたが、建設から約5年後には自主的な運営が可能となりました。グアナカステ協同組合をはじめとするコスタリカの3つの農村電力協同組合は、配電だけでなく、新たな再生可能エネルギープロジェクトの開発を目的として、1989年にConelectricas を設立しました(Madriz-Vargas, Bruce and Watt, 2018)。4つの協同組合は、それまでに得た収入を活用し、資金を集約することで、発電事業への投資をおこなうことができるようになりました。

グアナカステ協同組合は、Conelectricas やその配電網で得られた収入と、さらなる多角化(通信事業など)を利用して、15年間の建設・リース・譲渡契約のもと、2008年に17.5MWのミニ水力発電所を開発することができました[11]。協同組合の組合員には、再生可能エネルギープロジェクトの運営方法に関する技術研修がおこなわれました(Madriz-Vargas et al., 2016)。この取り組みの成功により、グアナカステ協同組合は、2018年に17.5MWの2つ目の水力発電所を開発することを決定しました。

2015年までに、グアナカステ協同組合は、3,915平方キロメートルのコンセッションエリアを管理し、7万件以上の配電接続をカバーし、28,000世帯、エコツーリズムビジネス、農業産業など、約10万人のエンドユーザーにサービスを提供しています。また、この協同組合は約400人の地元コミュニティのメンバーを雇用しています(Madriz-Vargas, Bruce and Watt, 2018)。

グアナカステ協同組合の事例は、コミュニティ主導の再生可能エネルギー事業の成功例を示していますが、コスタリカの電力部門を取り巻く政策の不確実性や ICE への電力販売価格の変動によるいくつかの課題に直面しています(Madriz-Vargas, 2018)。

[11] 建設・リース・譲渡モデルでは、民間スポンサーが施設を建設し、所有権を委託先に譲渡し、委託先から施設をリースし、リース期間満了まで施設を運営します(Infrastructure Consortium for Africa/Public-Private Infrastructure Advisory Facility, 2009)。
Quiché

グアテマラ・キシェ県

主な特徴

  • 企業の社会的責任、公的融資と地域社会からの寄付を組み合わせて、コミュニティエネルギープロジェクトに資金を提供

グアテマラは再生可能エネルギー資源が豊富でありながら、化石燃料への依存度が高く、エネルギーの純輸入国です。2018年の時点で、人口の95%がエネルギーにアクセスできるようになりましたが、先住民族によって構成されるいくつかの村は、依然としてオフグリッドのままです(IEA et al., 2020)。

世界の他の地域と同様、グアテマラでも、手頃な価格のデットやエクイティによる資金調達ができないことが、コミュニティエネルギーへの投資における大きな課題のひとつとなっています。国内のオフグリッド地域への電力アクセスを拡大し、資金調達の課題に対処するため、ラテンアメリカエネルギー機構(OLADE)は、公共部門の資金に民間企業の社会的責任による資金調達とコミュニティからの寄付を組み合わせたマルチステークホルダーモデルを試験的に実施し、政府を支援しました(Kolmsee and Wiemann, 2017)。約60万米ドルの助成金と援助金が集まり、その大部分はNGOと公共部門からのものでした(ENERGIA and IUCN, 2015)[12]

その結果、2014年に90kWのマイクロ水力発電プロジェクトが建設され、キチェ県のバツチョコラ村、ラグナバツチョコラ村、ビシキチュム村に電力が供給されています。このプロジェクトでは、合計170件の配電接続を通じて、141の世帯、19の零細・小規模企業、その他のコミュニティサービスに電気を供給しています。プロジェクトの運営・維持・管理は、発電と配電を管理するために設立されたコミュニティエネルギーサービス会社である Asociación Hidroeléctrica de Desarrollo Integral Norte del Quiché(ASHDINQUI)[13]がおこなっています。

また、資金の一部は、バツチョコラの小水力発電プロジェクトでつくられた電力を生産活動に利用することを支援するため、ASHDINQUI が管理するリボルビングファンドの設立にも使われました。3つのコミュニティでは、生活環境が改善され、新たな仕事やビジネスの機会を得ることができました。多くのコミュニティメンバーが新たなマイクロビジネスやスモールビジネスを立ち上げ、プロジェクトの運営費をまかなうだけの収入を得ることに成功しています。さらに、このプロジェクトの資金は、助成金や援助金というかたちで提供されているため、コミュニティは投資に対するリターンを求められることはありません。しかし、プロジェクトの運営費や維持費を賄うための資金管理や、プロジェクトが稼働しない乾季に備えた持続可能なエネルギー計画の策定など、いくつかの課題が残っています。

[12] プロジェクトの資金源は、HIVOS(40%)、National Electrification Institute(19%)、Ministry of Energy and Mines/OLADE(15%)、Clean Energy Guatemala(ELGUA)(13%)、Nebaj 市政府(9%)、TELUS International(3%)、ASHDINQUI(1%)となっている(ENERGIA and IUCN, 2015)。
[13] ASHDINQUI は、先住民コミュニティのメンバーを含む男女同数で構成されており、プロジェクトの実施プロセスや新たな生産性の高い事業に積極的に参加しています(ENERGIA and IUCN, 2015)。

略語

ASHDINQUI 北部キチェの統合的発展のための水力発電協会

CARES コミュニティ再生可能エネルギースキーム

CCA コミュニティチョイスアグリゲーション

DFI 開発金融機関

FIT 固定価格買取制度(FIT制度)

ICE コスタリカ電力公社

IRENA 国際再生可能エネルギー機関

KfW ドイツ復興金融公庫

kW キロワット

LLC 有限会社

OLADE ラテンアメリカエネルギー機構

PAYG 従量課金(pay-as-you-go

USD 米国ドル

VNM バーチャルネットメータリング

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