このレポートは、IRENA行動連合の「人々とコミュニティのエンパワーメントに関するワーキンググループ」と、エネルギーと自然の共生を目指す連合「CLEANaction(Coalition Linking Energy and Nature for Action)」のメンバーによって共同で作成されました。このレポートでは、生態系の保全および回復と整合を図りながら、太陽光・風力エネルギーおよび関連インフラを整備するための指針となる原則を提案しています。

ネイチャーポジティブエネルギーの原則
環境と共生する太陽光・風力発電および送電インフラの立地選定と許認可
IRENA Coalition for Action Empowering People and Communities Working Group
Nature-positive energy principles
Environmental siting and permitting of solar, wind and grid infrastructure
IRENA Coalition for Action
元レポート 2025年 / 日本語翻訳 2026年
寄稿者
Benoit Moreaux (former Global Wind Energy Council [GWEC]); Claudio Mosti (Enel Green Power); Noriaki Yamashita (Institute for Sustainable Energy Policies [ISEP]); Tiana Nairn (LMS Energy); Andrea Wainer (REN21); Ira Shefer (Renewables Grid Initiative [RGI]); Briony Horner (Succession Ecology); Deepak Sriram Krishnan and Rushabh Soni (World Resources Institute [WRI] India); Monica Oliphant (World Wind Energy Association [WWEA]); Dean Cooper (World Wide Fund for Nature [WWF]); Jinlei Feng, Jarred McCarthy, Ilina Stefanova and Giedre Viskantaite under the guidance of Ute Collier (IRENA).
謝辞
Binit Das (Centre for Science and Environment), Saeed Reza (WRI India), Andrzej Ceglarz, Adrian Mate, Ana Miljanović Rusan, Manon Thiel (RGI) から貴重なレビューとフィードバックをいただきました。
編集
Erin Crum
編集サポート
Francis Field, Stephanie Clarke
デザイン
Myrto Petrou
日本語翻訳
古屋将太
IRENA Coalition for Action (2025), Nature-positive energy principles: Environmental siting and permitting of solar, wind and grid infrastructure, International Renewable Energy Agency, Abu Dhabi.
本レポートは “Nature-positive energy principles: Environmental siting and permitting of solar, wind and grid infrastructure” ISBN:978-92-9260-676-3 (2025) の非公式な日本語翻訳版です。英語オリジナル版と日本語版で相違がある場合は、英語版の記述が優先されます。
目次
Box 1. クロアチアにおけるスマート立地の設計
Box 2. オーストラリアにおける埋立地への太陽光発電の立地
Box 3. 米国における旧石炭鉱山跡地の太陽光発電への転用
Box 4. 中国の東営市における太陽光発電と養殖の統合プロジェクト
Box 5. 南オーストラリア州における在来植生の共益アプローチ
Box 6. ブラジルにおける在来種の保護と森林再生をともなうメンドビンプロジェクト
Box 7. 英国における泥炭地再生をともなうホワイトリー風力発電所
Box 8. ウズベキスタンの風力発電所で鳥を守る人工知能
Box 9. インド・タミルナドゥ州における風力発電のリパワリング
Box 10. チリおよびその他の地域における廃棄物ゼロイニシアチブ
Box 11. 日本における太陽光発電プロジェクトに隣接する湿地を保護するための協働
Box 12. オランダの系統インフラ立地における共同設計プロセス
図S1. ネイチャーポジティブなエネルギー開発のための6つの指針原則
図1. 再生可能エネルギー発電設備容量の追加
図2. 世界の生きている地球指数
図3. ネイチャーポジティブなエネルギー開発に向けた6つの原則
図4. 緩和ヒエラルキー
図5. サーキュラーエコノミーの原則
表1. 再生可能エネルギー事業開発の段階
表2. 保全および回復活動と利益
要旨
化石燃料の継続的な利用により、人間の活動と自然環境には相互に絡み合った3つの主な脅威がある。それらは気候変動、生物多様性の喪失、汚染である。これらの脅威に対処しないことは、世界の人間と自然の双方に取り返しのつかない前例のない悪影響がもたらされることを意味する(UNFCCC, 2022)。これらの脅威に対処するための主要な行動は、あらゆる部門と活動において化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えることである。
2030年までに、パリ協定および第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)UAEコンセンサスにそって、世界の再エネ電力の設備容量は3倍にしなければならない。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、1.5℃経路は、再生可能エネルギー(特に太陽光発電(PV)と風力発電)、省エネルギー、電化によって駆動されるエネルギー部門の脱炭素化を想定しており、これを支える送電インフラの拡大が必要となる(IRENA, 2024)。加えて、この10年の終わりまでに、大多数の国が昆明・モントリオール地球規模生物多様性枠組(Global Biodiversity Framework, GBF)のもとで自然の喪失を食い止め、反転させることにコミットしている(CBD, 2024)。気候と自然に関するコミットメントは深く関連しており、社会的・経済的・環境的側面を考慮した統合的なセクター横断計画を通じて取り組む必要がある。
化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー転換という現在の要請は、これまで以上に迅速に再生可能エネルギーを展開する強い圧力を意味する。この過程において、急速なエネルギー転換が生物多様性や生態系、そして地域コミュニティや地元ステークホルダーへの悪影響を効果的に管理・抑制することを確保することが不可欠である。優れた実践とガイドラインをまとめた文献はすでに多く存在する。これを踏まえ、このレポートでは、図S1に示すように、脱炭素化の主要な推進力として自然とバランスのとれた太陽光・風力・送電網の加速的展開のための6つの指針原則を提案する。
図S1. ネイチャーポジティブなエネルギー開発のための6つの指針原則

原則1:ネイチャーポジティブなエネルギー開発を加速する
再生可能エネルギーとそれを支える送電インフラの展開速度を必要な水準まで高めるため、政府は、自然への影響が最小限で、保全区域・生物多様性ホットスポット・文化遺産を保全しつつ、再生可能エネルギーの資源ポテンシャルが高い地域を特定すべきである。
原則2:共同利用
既存のインフラと改変済み土地での再生可能エネルギープロジェクトの組み合わせによる二重利用・複合利用を優先すべきである。既存構造物や改変済みエリアの活用、農業などとの二重利用のルール整備を含む。
原則3:保全・復元・強化
この原則は、プロジェクトの開発・実施段階において積極的な計画を策定することを求める。その目的は、生態系を可能な限り保全し、影響を最小限に抑えるよう修復すること、そして、緩和ヒエラルキーに則って生物多様性を向上させるための措置を講じることである。
原則4:モニタリングと順応的管理
自然との相互作用の複雑さと変動を踏まえ、この原則は、建設・運転・廃棄の各段階におけるプロジェクトの潜在的影響をモニタリングし、新たな知見にもとづいて調整する順応的管理の必要性を強調する。
原則5:耐用年数の延長
この原則は、すでに稼働している再生可能エネルギー施設の稼働期間を延ばし、環境への負の影響を最小化し資源効率を最大化することに焦点を当てる。適切な維持管理、改修、リパワリング、 廃棄および循環経済の適用を含む。
包括原則6:地域主体の参加
あらゆる側面において、地域コミュニティと地元ステークホルダーを巻き込み、歴史・文化・遺産・社会的価値を含む地域の文脈に適応し、地域の知見を取り入れ、便益の公平な配分を確保し、意思決定への実質的な参加の機会を創出することが重要である。
これらの原則の適用に向けた環境を整えるため、本稿は、エネルギー開発計画と各国が決定する貢献(NDC)を気候・生物多様性・持続可能な土地管理に関する国際目標と整合させる、より統合的なアプローチを求める。科学的知見と地域の知見を組み合わせた技術革新の適用により、生態系の保護・強化のための堅牢な順応的管理を可能にするには、さらなる研究と実践的なツールが必要である。再生可能エネルギーの拡大は迅速におこなう必要があるが、環境破壊や遅延や地球規模の生物多様性への取り返しのつかない害につながり得る対立を防ぐため、責任を持って実施されなければならない。世界がその帰結を許容することはできない。
1. イントロダクション
UAEコンセンサスは、再生可能エネルギーの導入量と速度の拡大、2030年までに既存容量を3倍にすること、化石燃料の段階的廃止および省エネルギー改善の倍増を求めている(IRENA, 2024)。再生可能エネルギーへの転換は、さらなる環境悪化を避け将来の生態系の持続可能性を確保するための重要な要素として、今や広く受け入れられている(IPCC, 2020)。
再生可能エネルギーは過去20年間で存在感を増しており、2024年は年間成長率15.1%の記録を達成し、585GWの再生可能電力容量が追加され、総容量拡大の92.5%を占めた(IRENA, 2025)。太陽光発電が新規追加の75%超を占め、風力が約20%で続く。風力と太陽光は、コスト競争力とより短期の導入期間により、新規容量追加を今後も支配すると見込まれる(IRENA, 2024)。図1は技術別の再生可能エネルギー発電設備容量を示し、3倍目標の達成における太陽光と風力の主要な役割を示している(IRENA et al., 2024)。このため、本稿は太陽光、風力および関連する送電インフラの開発に焦点を当てる。
図1. 再生可能エネルギー発電設備容量の追加

人間と自然の相互作用は複雑である。人間の活動が環境に及ぼす直接的な悪影響は広く知られているが、間接的かつ累積的な影響やフィードバックループについては、いまだ完全には解明されていない。世界自然保護基金(WWF)によれば、過去50年間で生物多様性は73%失われたという。図2は、世界の野生生物個体群の平均的な変化を追跡した「生きている地球指数(Living Planet Index)」の推移を示している。人口の増加、そして特に持続不可能な消費・生産の形態は、食料、エネルギー、水、住居といった競合する需要を満たすために、限られた土地資源に圧力をかけ続けている。環境破壊が進んでいるものの、自然環境は人間の生命や他のあらゆる生物を支えるものであり、それ自体に固有の価値がある。さらに、自然は適応のための有効な手段でもあり、気候変動による負の影響を軽減・緩和する役割も果たしている。
図2. 世界の生きている地球指数

気候変動、生物多様性の喪失、汚染、土地劣化という相互に絡み合った危機に統合的に取り組むことで、資源の公平で効率的な利用を確保しつつ自然を守る可能性が高まる。昆明・モントリオール地球規模生物多様性枠組(GBF)の下で、196か国が生物多様性が人間の福利に不可欠であると認識し、2030年までに生物多様性の喪失を食い止め反転させることにコミットした。気候変動に関する国連枠組条約(UNFCCC)、生物多様性条約(CBD)、砂漠化対処条約(UNCCD)のリオ3条約と持続可能な開発目標(SDGs)の間で、より強いシナジーを構築する必要がある。
ネイチャーポジティブなエネルギー開発は、2030年までに自然の喪失を食い止め反転させる目標と整合した、正味でプラスの生物多様性アウトカムをもたらすアプローチである(ネイチャー・ポジティブ・イニシアティブ, 2025)。自然を守ることは最優先であり、化石燃料の継続使用は環境、ひいては人類の生存に対する最大の脅威の一つとなっている。化石燃料は世界の温室効果ガス排出の4分の3と大気に放出される二酸化炭素の90%の原因である(UN, 2022)。化石燃料の環境フットプリントは、採掘・加工・輸送に必要な土地だけでなく、周辺の水資源や生息地の汚染とも結びついている。加えて、生産拠点と化石燃料の燃焼は汚染に寄与し、環境劣化を悪化させている。
化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は、省エネルギー措置と組み合わせることで、自然世界を守る最良の機会となる。しかし、慎重な計画がなければ、この世界的なエネルギー転換は、バリューチェーンとプロジェクトのライフサイクル全体で生態系・土地劣化に寄与する、回避可能な社会経済的・環境的悪影響をもたらし得る(WRI, n.d.)。幸い、悪影響が他地域より小さい可能性のある既に改変された土地が十分にあり、クリーンエネルギー需要の充足に利用できる。ある推計ではパリ協定目標達成に必要な土地量の少なくとも17倍に相当する(ネイチャー・コンサーバンシー, 2021)。これらの土地を再生可能エネルギーに優先利用するには、今すぐ積極的な措置を講じる必要がある。
再生可能エネルギーと関連インフラの拡大は迅速におこなう必要があるが、自然環境に敏感な区域を避け、健全な生態系を維持しなければならない。開発・実施プロセスは、技術とプロジェクトのライフサイクル全体で、人と自然への負の影響を積極的に最小化し、正の影響を高めなければならない(Tian et al., 2024)。米国8州で実施された研究では、再生可能エネルギー導入の障壁が現在、地域・州・地方レベルで技術経済的から制度的・社会的なものへとシフトしていることが示された(Energy Environmental Economics, 2024)。そのため、再生可能エネルギープロジェクトの計画、許可、立地の選定において、環境や生物多様性への潜在的な影響を適切に考慮し、評価することを保証する政策、法律、規制が必要とされている。これらの法的枠組みは、生物多様性にとって重要な地域を損なったり、影響を受ける地域住民のウェルビーイングを脅かしたりすることなく、導入を合理化し加速させるものでなければならない。
自然との相互作用は、再生可能エネルギープロジェクトにとってのリスクではなく、むしろ潜在的な資産とみなすべきである。自然と共生し、生物多様性がもたらす多様な恩恵をプロジェクトに活用することで、これまでにない社会的・経済的機会を生み出すことが可能になる。例えば、プロジェクトの開始時に敷地内の自然植生をすべて取り除いたとしても、植物は通常再び生育してくるため、継続的な植生管理が不要になるわけではない。一律に伐採するのではなく、地表を覆う植生を維持すれば、土壌構造が保たれて土壌の回復力が高まる。それにより、浸食や粉塵の影響が軽減され、微気候の改善や周囲温度の低下、さらには雑草の抑制といったメリットが得られる。こうした取り組みは、地域の野生生物やその生息地、そして健全な生態系を支える移動経路(コリドー)の保護につながり、地域住民に不可欠な生態系サービスを提供することにもなる。太陽光発電所は、野生生物に配慮した設計がなされれば、鳥類の多様性を高めることさえ可能である(Copping et al., 2025)。
本稿は、再生可能エネルギーと送電インフラの拡大と環境保護のバランスをとるための立地・許認可プロセスに焦点を当てる。ネイチャーポジティブな再生可能エネルギー開発を導く原則を提案する。それらの原則には、長期的な持続可能性、包摂性、そして科学的知見と地域知識の統合に対する配慮が盛り込まれている。
2. 背景、主要な定義およびステークホルダー
本セクションは、再生可能エネルギーおよびインフラ事業の立地・許認可に関する主要な定義を示し、課題とステークホルダー間の相互作用を整理する。既存の関連資料を踏まえ、これらの課題への対応に資する提言やベストプラクティスを後続セクションで示すための土台を用意する。
上記の取り組みを実施する上での課題は、慎重かつ加速的でインパクトのある土地・海洋利用計画(以下「土地利用」)なくしては進めることも、成功もしない。土地利用とは、さまざまな目的のために特定の空間・区域(陸上または海域)を人間が改変することを指す。多くの場合、土地利用はインフラまたは利用のための指定区域(「直接」土地利用)を指す。しかし、「間接」土地利用、すなわちインフラまたは利用の開発を支えるために必要な他の空間・区域も考慮すべきである。具体例としては、他分野で活用されている技術の原材料を抽出するために必要なスペースや、風車(REN21, 2024)および送電鉄塔の設置間隔などが挙げられる。
土地利用にはさまざまな側面があり、とりわけ重要な2つが立地(siting)と許認可(permitting)である。立地とは、特定の利用を指定するために空間(陸上または海上)を割り当てるプロセスを指す。再生可能エネルギーでは、技術的ポテンシャルを考慮し、発電施設(例:風力発電)および送配電線(送電網)を設置する特定区域を割り当てることを意味する。許認可とは、所定の法的・規制要件の下で、立地プロセスで選ばれた区域において事業を開発することを公的機関が「ゴーサイン」するプロセスである(Sercy and Cavert, 2024)。許認可段階では環境影響評価がおこなわれ、地域コミュニティがプロジェクトについて協議する。本稿は主に直接的土地利用の文脈での立地・許認可に焦点を当てつつ、間接的土地利用の寄与も一定程度認める。
再生可能エネルギープロジェクトや送電インフラの立地選定および許認可には、多様なステークホルダー間の相互作用がともなう。多くの再生可能エネルギープロジェクトに適用可能な一般的な開発段階を表1に示す。
表1. 再生可能エネルギー事業開発の段階
| 活動 | 資源・技術ポテンシャル評価 | 立地選定 | 許認可 | サイト開発・設置 | 運用・保守 | リパワリングまたは廃止措置 |
| 説明 | 各地域の技術的ポテンシャルを評価し、再生可能エネルギー資源のポテンシャルが最も高いサイトを特定する。 | 技術的ポテンシャルの高い場所を選定し、再生可能エネルギープロジェクトおよび系統インフラのためのサイトを指定する。経済性・市場ポテンシャルの推定。戦略的環境アセスメント。 環境感受性(例:鳥類・コウモリ種)に基づき、立地選定ツール(例:風力・太陽光・系統ポテンシャルと重なる感受性マップ)を用いた場所の選定。 非公式な住民・その他ステークホルダー協議。 | 開発事業者の選定、プロジェクト設計・計画、買電者の選定。 環境許認可の取得、住民・その他ステークホルダー協議の実施。 | 再生可能エネルギーおよび関連インフラの建設・設置。 | 発電、継続的な保守・サポート、環境影響の適応的管理(例:鳥類の衝突リスク低減のための送電線マーキング)。 | プロジェクトの技術的寿命の終了時に、廃止措置および合意されたベースラインへのサイト復元、またはリパワリングのいずれかを行う。 |
| 意思決定者 | 政府、技術部門、民間セクター | 国・地方政府、民間セクター、地域のNGO | 政府、環境規制当局、地域コミュニティ、NGO | 投資家、生産者、開発事業者、製造業者・サプライヤー、政府、規制当局、電力会社 | 開発事業者、電力会社、電力規制当局 | 開発事業者、リサイクル業者、政府 |
| 影響を受ける ステークホルダー | 地域の関係者(例:地元企業、漁業、観光業、農業者、土地所有者・利用者)、コミュニティ、開発事業者、製造業者、地方政府 | 地域の関係者・コミュニティ、開発事業者 | 地域の関係者・コミュニティ | 地域の関係者・コミュニティ | 地域の関係者・コミュニティ | 地域の関係者・コミュニティ |
立地と許認可の両プロセスには内在的な対立がある。特定の地理的区域の自然環境が持つ一定の容量と物理的制約のもとで、異なるステークホルダーのニーズと活動を優先し、バランスをとり、統合する必要がある。この緊張は再生可能エネルギーの文脈で顕著である。新たな風力・太陽光発電所とそれを支える送配電線には、新区域の指定・利用、または既存区域の容量強化(土地の複合利用)が必要となる。リスクには、生物多様性と炭素貯蔵に悪影響を及ぼす森林伐採、農業に使える肥沃な土地の太陽光・風力発電所への転用、洋上風力発電所による海洋環境への影響、渡り鳥等の保護措置のない風車や送電線の設置などが含まれる。
立地・許認可における土地利用をめぐる対立は、再生可能エネルギーをどこにどのように導入するかという多様な設定を考慮すると、さらに複雑になり得る。例えば、農地を農業と太陽光発電技術の両方に使う場合、太陽光または風力発電所のみに使う場合とは異なる立地・許認可プロセスが必要となる可能性がある(IRENA Coalition for Action, 2025)。
立地・許認可プロセスは、再生可能エネルギーへの需要とそれがもたらす影響との間の対立を和らげるもっとも実行可能な解決策を見出すため、多様な考慮事項を反映する必要がある。欧州連合(EU)における計画中の再生可能エネルギー加速区域(Renewables Acceleration Areas, RAAs)および送電網加速区域(Grids Acceleration Areas , GAAs)をめぐる議論は、この内在的対立の大規模な例である。EU加盟国で再生可能エネルギーの迅速な立地・許認可のための区域を指定しつつ、自然区域と人間活動の保護を確保する必要がある(RGI, 2024)。それにもかかわらず、研究では欧州に2030年までにEUの規制上の再生可能エネルギー目標45%を達成するのに十分な低対立土地があることが示され、エネルギー転換と自然保護の両目標に対するスマート立地アプローチの価値が示されている(Kiesecker et al., 2024)。
許認可・立地プロセスには多数のステークホルダーが関与し、それぞれ異なる動機と行動力を持つ。付録1にステークホルダーの基本スキームを示す。このプロセス全体で目標を達成するには、他ステークホルダーとの効果的な相互作用が必要である。
多様な利害関係が存在すること、そして再生可能エネルギーの迅速かつ大規模な導入によって排出量を劇的に削減する必要があることを踏まえれば、立地選定および許認可プロセスの改善は不可欠である。立地選定と許認可のプロセスにおいて、社会、環境、そして生物多様性への配慮を統合することは、再生可能エネルギープロジェクトがもたらし得る悪影響を最小限に抑え、ポジティブな影響をより高めることにつながる。
3. ネイチャーポジティブなエネルギーのための指針原則
環境的・社会的に責任ある再生可能エネルギー導入の重要性を認め、国および地方政府は、国際社会の支援を受け、民間セクターおよび市民社会と協議しつつ、これらのプロセスに関わるすべてのステークホルダーを支える枠組みを整え、適切な資源を配分すべきである。便益は多様であり得る。立地・許認可に関する戦略的思考は、再生可能エネルギー導入を妨げ得る土地利用対立を緩和し、他活動とのシナジーを特定し、生態系と地域コミュニティがネットゼロ社会への移行において繁栄できるよう確保できる。立地・許認可に関するガイダンスは、プロジェクトの地域における環境・社会・経済影響評価を強化することもできる。
自然と調和した再生可能エネルギー立地・許認可のための国際的に認められたガイドラインを策定・採択する必要がある。本稿は、自然とバランスのとれた太陽光・風力・送電インフラの加速的開発のための指針原則を提示することでこの取り組みに貢献する(図3)。以下に6つの原則を掲げるが、これらの適用にあたっては、地域の特性やプロジェクトの背景、規模に応じて柔軟に対応すべきであることを付記しておく。
図3. ネイチャーポジティブなエネルギー開発に向けた6つの原則

原則1:ネイチャーポジティブな開発の加速
- 高ポテンシャルかつ環境影響が最小の区域を特定・指定する統合アプローチにより、より円滑な導入を可能にすることを求める。
原則2:共同利用
- 都市、農業、インフラ事業における多数の事例が示すように、すでに改変された区域を優先すべきことを強調する。
原則3:保全・復元・強化
- すべてのプロジェクトに適用される。これには、電力網、エネルギーへのアクセス確保、大規模プロジェクト、あるいは洋上風力発電プロジェクトの一部など、土地や空間の共同利用が困難なケースも含まれる。こうした状況においても、既存の生物多様性を維持するための措置を講じ、改変を可能な限り復元し、緩和ヒエラルキー(影響軽減の優先順位)にそって生物多様性の強化に努めることが求められる。
原則4:モニタリングと順応的管理
- 生態系は動的かつ複雑であることを認める。野生生物の移動や植物の成長に関する新たな知見に適応するため、順応的管理のアプローチと技術を用いるべきである。
原則5:耐用年数の延長
- これは既存のプロジェクトを対象としたものであり、計画されたプロジェクトのライフサイクルを延長する措置を講じることで、新規建設による追加的な環境負荷を抑えつつ、エネルギー生産を継続することを目指すものである。
包括原則6:地域主体の参加
- あらゆる開発段階において、地域の関係者を巻き込むことはすべてのプロジェクトに不可欠である。住民の支持を獲得し、現地の伝統的知識や科学的知見を活用するためには、コミュニティの参加と関与を促す施策が求められる。これこそが、プロジェクトの長期的な成功と持続可能性に寄与する。
それぞれの原則には、政策手段の具体例や、導入に成功した事例研究が示されている。これらの原則は、既存のガイドラインや研究結果とも整合性を図っている。具体的には、国際自然保護連合(IUCN)の「風力・太陽光発電開発および関連インフラの空間計画」(2024年)や、太陽光・風力エネルギー開発にともなう生物多様性への影響緩和に関する開発者向けガイドライン(Bennun et al., 2021)、風力・太陽光発電開発が生物多様性に与える累積的影響評価のガイダンス(Bennun et al., 2024)などが挙げられる。さらに、REN21の「再生可能エネルギーと持続可能性レポート」(2024年)や、世界経済フォーラム(WEF)による「再生可能エネルギー・インフラの責任ある展開に向けた原則」(2025年)といった資料の内容も反映されている。
原則1:ネイチャーポジティブなエネルギー開発の加速
再生可能エネルギーの導入速度を必要な水準まで高めるため、政府は自然環境に敏感な区域を避けつつ、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い区域を特定すべきである。
新たな再生可能エネルギーおよび送配電インフラの適切な立地を特定する際、意思決定者は生物多様性と地域コミュニティへの潜在的影響を勘案しなければならない。再生可能エネルギーの拡大は、自然と人々への潜在的悪影響を避け軽減するため、慎重に計画すべきである。責任ある立地・許認可のための再生可能エネルギーゾーンを設計する協働プロセスが必要である。
スマート立地ツールとアプローチを用いて、エネルギー資源ポテンシャル、敏感な生息地、脆弱種(例:鳥類)の高リスク区域、優先的文化区域などの基準を考慮した再生可能エネルギー開発の立地を特定できる。地域の固有ニーズを考慮したスマート立地ツールとアプローチを開発することで、気候・保全・地域便益および生物多様性の強化を最大化するかたちで再生可能エネルギープロジェクトを立地できる(IRENA Coalition for Action, 2024)。これらの基準は、地域コミュニティ、科学者、その他の地元ステークホルダーの参加を得て、早期に——できればエネルギーシステム計画段階および具体的事業の計画前に——策定されなければならない。
再生可能エネルギー資源は一見豊富に見えても、再生可能エネルギー施設の候補地のより詳細な評価では、統合的な立地プロセスが必要であることがしばしば示される。世界の相当量の土地が生物多様性のための保護区域に指定されており、これらの区域はGBFにそって将来拡大すべきである。加えて、考慮すべき多数のステークホルダーのニーズがある。自然環境とステークホルダーのニーズが慎重に考慮されて初めて、持続可能な開発が継続的に実現する。
政策の道筋
エクアドルは2008年に憲法で自然の権利を認めた最初の国であり、ボリビアが続いた(Berros, 2021)。これらの枠組みは、インフラ開発が自然保護および先住民の権利と整合することを求める。自然の権利の概念は、自然および地域コミュニティとの調和とバランスを重視する先住民の伝統に由来する。こうしたアプローチは世界的に広がっている。しかし、経済・社会開発と自然保護をいかに両立させるかには課題が残る。
2022年、EUは加盟国に、開発が環境への負の影響が限定的で許認可の簡素化の恩恵を受ける再生可能エネルギー加速区域(Renewables Acceleration Areas, RAAs)をマッピングするよう指示した(European Parliament, 2022)。これは再生可能エネルギー指令の調和のとれた公正で持続可能な実施を推進することを意図していた。並行して、加盟国はRAAsに指定された再生可能エネルギーを支える送電インフラのための送電網加速区域(Grids Acceleration Areas , GAAs)を(任意で)マッピングするよう奨励されている(European Parliament, 2023)。RAAs・GAAsのマッピングと自然再生規則(European Commission, 2025)にもとづく計画とのシナジーは、これらのプロセスに資する。
明確で包摂的かつ包括的なかたちで実施されれば、RAAsとGAAsは、自然と地域コミュニティのニーズとバランスをとりつつ世界の気候・エネルギー目標を達成するために必要な再生可能エネルギーインフラの導入を実現する方法の例となり得る。RAAs・GAAsの採用は、以下に述べる必要な政策が示す、再生可能エネルギー導入のための生態系ベースかつ地域コミュニティを包摂した空間計画の有用なロードマップとなり得る(WWF, CAN Europe, The Nature Conservancy, Birdlife International, EEB, 2024)。
関連計画は、生物多様性の喪失に対処する取り組みに貢献しつつ、必要な再生可能エネルギー容量とインフラを供給する機会として捉えるべきである。こうした計画は、良きガバナンス、ステークホルダー関与、市民参加を含む効果的な選定・指定プロセスを確保しなければならない。これにより自然への影響を最小化し、市民とステークホルダーの信頼を高め、ひいては開発を遅らせ得る対立のリスクを低減できる。共通の方法論により、迅速な再生可能エネルギー導入アプローチに必要な速度、一貫性、効率性、公正性を確保できる。関連計画は、計画プロセス中の潜在的摩擦を減らすため、正式手続き開始前にステークホルダー(特に影響を受ける地域コミュニティ)と早期にかかわりをもつことで大きな便益を得られる。
選定・指定プロセスは、信頼性の高い科学的根拠に則った手法にもとづくべきである。技術別エネルギーモデリング、野生生物センシティビティマッピング、社会的・生態的土地利用指標をカバーすべきである。原則2のセクションで詳述するように、ブラウンフィールドや劣化地(すでに自然再生および/または炭素隔離に指定されている場合を除く)などの改変区域の特定を優先すべきである。こうしたアプローチは、緑地の議論をすることなく改変区域における投資と再生の機会を創出し、導入プロセスの加速に寄与できる。加えて、例えば再生可能エネルギーの計画と既存または指定農地の統合により一区域での多目的利用を創出するなど、指定プロセスへの包摂的アプローチを適用すべきである。
RAAs・GAAsの指定における市民参加、ステークホルダー関与、協議は、既存の法的要件に準拠した徹底的で効果的、包摂的かつ迅速なプロセスを確保するために不可欠であり、包括原則6で詳述する。
社会や環境への影響が少ない地域における、再生可能エネルギー開発の世界的ベストプラクティスを検討することは、望ましい開発を加速させるためのもう一つの手段となる。その際、知識や事例を共有し、関連するデータセットや再現可能な手法を誰もが利用できるように公開することが重要である。資金力に限りのある地域では、再生可能エネルギーのゾーニングをおこなうにあたって、既存の地図情報やオープンデータを活用し、適地を特定することが可能だ。例えば、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、SolarCityシミュレーターを提供しており、これによって一般家庭や企業、地方自治体は、屋根置き型太陽光発電による発電ポテンシャルを評価することができる。また、民間セクターの参加や国際社会からの重点的支援は、資金面や制度面における課題の解決に寄与するであろう。
プロセスは反復的であり、得られた経験に応じて継続的に調整すべきである。これには、当初から再生可能エネルギーゾーニングの指定と実施に関する透明で堅牢なモニタリングと評価のプロセスが必要となる。自然への影響を回避・最小化し、地域コミュニティと便益を共有する十分な市民参加およびその他のステークホルダーかかわりを確保するため、空間マッピングを事前に実施すべきである。
増えつつある研究が、私たちが直面する気候・自然・エネルギーの課題を克服する道があること、そして短期ニーズを満たすために長期的目標を損なう必要はないことを示している。Box 1に示すとおりである(Nature Conservancy, 2020)。
Box 1
クロアチアにおけるスマート立地の設計
クロアチアのエネルギー研究所フルヴォイエ・ポジャルと協力し、ネイチャー・コンサーバンシーはスマート立地アプローチを適用した。地域の環境・社会データを示す地図と太陽光・風力ポテンシャルを示す地図を重ねて統合した。22の個別データセットを組み合わせ、クマの生息地やコウモリのコロニーなどの生態学的に敏感な区域を生産的農地とともに特定し、再生可能エネルギーのポテンシャルが高く送電網に近い区域も特定した。地域の専門家と非専門家の両方からのインプットを用いて、地域コミュニティにとって重要な価値を持つ土地を特定した。
厳格な保全区域および土地利用競争が著しい区域を除外した後、ひとつの郡でクロアチアの太陽光・風力の2030年国家目標の半分を満たすのに十分な適地が風力・太陽光施設用に特定された。クロアチアの残りの地域でもこの分析を実施すれば、人と地球の双方にとって重要な時期に再生可能エネルギー導入を加速し、近い将来にグリーンエネルギー輸出国となることに貢献し得る。
原則2:共同利用
既存の構造物や改変された土地を再生可能エネルギープロジェクトと組み合わせて二重または多目的に利用することを優先する。
以下のセクションでは、建物や駐車場への太陽光パネルの設置、劣化地やブラウンフィールドおよび農地での太陽光・風力発電事業、そして自然保護の取り組みとの組み合わせを含む共同利用の方法について詳述する。大規模なプロジェクトは、他の用途と土地を競合させる可能性がある(Ravi et al., 2016)。共同利用のアプローチは、新たな区域への転換の必要性を減らし、土地利用や資源をめぐる対立を緩和するのに役立つと同時に、相乗効果を生み出し、さまざまなステークホルダーに便益をもたらす。
既存構造物の活用
都市部には大きな太陽光発電のポテンシャルがある。屋根設置型太陽光発電は、住宅や建物に太陽光発電を統合する共同利用のもっとも一般的な例である。屋根設置型太陽光だけで世界の電力需要を賄える可能性を示唆する研究もある(Joshi et al., 2021)。EUの建物エネルギー性能指令は、2030年までにすべての新築住宅への太陽光発電設置を義務付ける予定である(European Parliament, 2024)。インド政府は、専用のスキーム「PM Surya Ghar: Muft Bijli Yojana」を通じて住宅部門への屋根設置型太陽光の導入を支援している(Government of India, 2025)。このスキームは、インドの住宅部門における屋根設置型太陽光の容量シェアを高め、発電をおこなうことを目的としている。2027年までに1000万世帯の屋根への設置を通じて、累積で30 GWの太陽光容量を追加することが期待されている。このスキームは、屋根設置型太陽光を設置する世帯への資金援助をおこなうとともに、公益事業体や地方自治体に対しても、スキームの推進や屋根設置型太陽光の導入を促進するためのインセンティブを提供している。これに加えて、インドのさまざまな州では、規制上の介入を通じて商業・工業用消費者向けの屋根設置型太陽光の設置を推進している。
さらに、多くの住宅、オフィス、公共施設、病院、ショッピングセンター、ホテルには駐車場がある。駐車場への太陽光パネル設置は、熱、雨、雪から車や利用者を保護することを含む、複数のメリットをもたらす。2022年、フランスの法律は、1500平方メートルを超える駐車場の所有者に対して太陽光発電システムの設置を義務付けた(Legifrance, 2023)。インドのハイデラバードでは、2023年に全長23キロメートルの太陽光PVに覆われたサイクリングコースが開通し、その設備容量は16 MWに達している(Economic Times, 2023)。

改変区域への立地
スマート立地では、既存のインフラを利用したり、人間活動によってすでに転換・劣化した多くの土地を特定したりすることができる。これらには、汚染された土壌や地下水が残されている可能性のある旧工業用地、製造工場、倉庫、その他の産業施設などのブラウンフィールド、放棄された石油・ガス井、埋立地や廃棄物処理場、旧鉱山跡地などが含まれる。Box 2では埋立地をエネルギー生成拠点に変える方法を紹介しており、Box 3では旧石炭鉱山跡地の利用例を示している(Nature Conservancy, 2025)。旧ブラウンフィールドに太陽光や風力発電所を立地させることには、リスクと機会の両面がある。土地が汚染されていたり、開発開始前に解決すべき環境、技術、または規制上の課題があったりする場合があるためである(Spiess and De Sousa, 2016)。しかし、これらの用地は多くの場合、既存の道路インフラや送電線へのアクセスなどの利点があり、自然公園の開発や転換の必要性を減らすことができる(US Environmental Protection Agency, 2015)。旧石炭鉱山に再生可能エネルギーを立地させることは、影響を受ける地域コミュニティがグリーン経済へと移行するのを支援することで公正な移行(Just Transition)を支え、持続可能な経済への転換において取り残されないようにすることができる。
Box 2
オーストラリアにおける埋立地への太陽光発電の立地
埋立地は、閉鎖後も含め、長期的な地盤沈下の問題や環境管理のため、代替的な用途が限られている。しかし、これらの用地は「埋立地上の太陽光(solar-on-landfill)」技術などを通じて、価値のある再生可能エネルギーハブへと転換することができる。
廃棄物の自然分解から生じる埋立地バイオガスは、回収して価値のある同期型再生可能エネルギーの生産に使用できると同時に、大気へのメタン排出を大幅に削減できる。同期型で柔軟性があり、調整可能な再生可能エネルギーを提供することで、このバイオエネルギーは地域のエネルギーの信頼性を向上させることができる。
太陽光エネルギーを埋立地バイオガスによる発電と併設すると、既存の電力インフラを活用できるという利点があり、他の用途が制限されている土地に対して、持続可能で経済的に実行可能な用途を提供できる。
LMS Energyは、オーストラリアにおける埋立地への太陽光設置の先駆けとなった。例えば、このハイブリッドな再生可能エネルギー生産アプローチは、ニューサウスウェールズ州のアルベリー埋立地において、アルベリー市議会と共同で成功裏に実施された。そこでは、LMSが1.1MWの埋立地バイオガス発電施設と並行して1.5MWの太陽光発電所を開発し、土地利用の効率を最大化した。これらのシステムを合わせることで、年間約5,000人の住民に再生可能エネルギーによる電力を供給している。これは、温室効果ガスの排出を緩和し、低炭素な未来に貢献しながら、クリーンエネルギーへの転換を支える埋立地の可能性を示している。
Box 3
米国における旧石炭鉱山跡地の太陽光発電への転用
米国東部に連なるアパラチア山脈は、生物多様性に富んだ森林に覆われている。この地域の地元経済は、かつて石炭採掘を基盤にしていた。石炭産業が衰退するにつれ、失業者が増え、劣化した土地が後に残された。
ネイチャー・コンサーバンシーは、ドミニオン・エナジー、サン・トライブ、ソル・システムズと提携し、カンバーランド・フォレスト地域の劣化した旧鉱山跡地で太陽光発電の開発を進めている。太陽光発電開発業者への提案依頼書(RFP)を発行する際、ネイチャー・コンサーバンシーは旧鉱山跡地でのプロジェクトのみを検討対象にすると指定した。ネイチャー・コンサーバンシーは、「森林とエコシステムの健全性」を保護するために、太陽光開発に適したエリアと不適なエリアを特定する「太陽光開発のための予備的な立地適合性分析」を実施していた。また、RFPでは、地域コミュニティとどのようにかかわり、環境的および経済的な利益をどのように提供するかを明記することも求めた。
RFPで特定された潜在的な経済的利益には、恒久的および一時的な地元の雇用、トレーニングプログラム、地元採用のコミットメント、コミュニティ基金への支援などが含まれていた。さらに、野生生物に配慮したフェンス、在来の送粉植物の導入、土砂流出防止などの環境対策も提案された。
これまでに、かつて石炭採掘に使用されていた土地に、合計140MWの太陽光発電と大規模な蓄電池システムが建設されることになっている。これらのプロジェクトが地域コミュニティにもたらす経済的利益に加え、こうした劣化した土地に建設することで、生物多様性に富んだ森林への影響を回避することができる。
営農型太陽光発電と水面設置型太陽光発電
農業生産と発電のために土地を同時に利用することは、世界中で注目を集めている。日本はパイオニアであり、営農型太陽光発電のための最初の法的枠組みを持つ国として、2023年3月時点ですでに5,000件以上のプロジェクトを設置している(IRENA Coalition for Action, 2025)。中国、米国、フランス、イタリア、ドイツ、インドなどの他の国々も、この二重利用アプローチの可能性を認識し、営農型太陽光を拡大するための政策や規制を整備しはじめている。例えば、欧州連合の利用されている農業地域のわずか1%を営農型太陽光で覆うだけで、2030年のEUの太陽光発電目標を上回るのに十分である(JRC, 2023)。インド政府は、インドの農業用電力使用を太陽光化するために、PM-KUSUMスキームを開始した(Government of India, 2024)。このスキームは、ディーゼルポンプに依存していた農業部門の灌漑からの炭素排出と大気汚染を削減することを目的としており、2026年3月までに34.8GWの太陽光発電容量を追加という野心的な目標を掲げている。また、このスキームは農業部門への太陽光発電導入のための資本補助金やデット融資の選択肢も提供している。
農地における地上設置型の太陽光発電とは対照的に、営農型太陽光は作物生産(レタス、ブルーベリー、ブドウなど)や放牧(羊や牛など)のために土地を継続的に使用することを可能にする。灌漑用ウォーターポンプ、冷却、貯蔵のための発電に加え、営農型太陽光は、異常気象からの保護や遮光による灌漑ニーズの削減など、農業生産にさらなる利益をもたらすことができる。営農型太陽光の利益を最大化するためには、作物の選択とシステムの設計を地域の条件に適応させ、最適化する必要がある。営農型太陽光は、地域の脱炭素化、農家の収入の多様化と増加による農村地域の活性化、国家の食料とエネルギーの安全保障の強化、停電時に被災したコミュニティに電力を供給することによる災害レジリエンスの強化など、いくつかの差し迫った社会的課題の解決に役立つ。さらに、営農型太陽光は、垂直に設置された太陽光パネルの下に絶滅危惧種の昆虫のためのフラワーストリップ(植生帯)を植えるなど、生物多様性を高めるように設計することも可能である。Box 4では、土地資源のより効率的な利用を可能にする中国の漁業と太陽光発電の統合について説明している(IRENA Coalition for Action, 2025)。
Box 4
中国の東営市における太陽光発電と養殖の統合プロジェクト
通威新能源(Tongwei New Energy)は、エコロジカルな養殖と太陽光パネルを組み合わせた中国の東営漁業・太陽光プロジェクト(Dongying fishery-solar project)を開発した。このモデルは、土地資源のより効率的な利用を実現し、同じエリアで食料とエネルギーを同時に生産することを可能にし、それによって土地利用効率を最大化し、エネルギーと食料の安全保障の両方の懸念に対処している。
中国における太陽光発電の急速な拡大は、土地利用に関連する課題を増大させている。二重利用戦略は、さらなる利益をもたらすと同時に、土地への圧力を効果的に緩和することができる。漁業・太陽光プロジェクトは、温度調節の改善と藻の繁殖の抑制により、池の条件が良くなったことで、エビとナマコの収量を50%増加させた。太陽光パネルの遮光効果は池の状態を安定させ、より持続可能な養殖環境を作り出す。このプロジェクトは、漁業、発電、そして環境保護という「三重の収穫」を達成した。
原則3:保全・復元・強化
先を見据えた計画的な取り組みが求められる。つまり、生態系を可能な限り保全し、開発による影響を最小限に抑え、生物多様性を高めるための施策を講じることが不可欠である。環境への配慮は、あらゆるレベルのエネルギー政策や計画の枠組みに組み込まれるべきだ。そのためには、政策立案や空間計画の策定におけるごく初期の段階から、生物多様性への影響評価をおこなう必要がある。
生物多様性への潜在的な影響については、図4(Bennun et al., 2021)に示されている通り、「回避」「最小化」「復元」「オフセット」からなる緩和ヒエラルキー(緩和の優先順位)の枠組みを用いて管理する必要がある。
- 回避:もっとも効果的な手法であり、生物多様性への影響をあらかじめ予測し、未然に防ぐための措置を指す。
- 最小化:完全に取り除くことができない影響を、できる限り軽減するための措置を講じる。
- 復元:プロジェクトによって生じた影響を修復するための措置を講じる。
- オフセット(代償):生物多様性オフセットは、測定可能な保全成果を上げる必要がある。それにより、生物多様性の損失をゼロにする(ノーネットロス)、さらにはプラスの状態にする(ネイチャーポジティブ)、すなわち「純増」を実現することを目指す。
図4. 緩和ヒエラルキー

再生可能エネルギー開発業者は、環境保護の基本要件を満たすだけでなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)の成果をさらに向上させるために、建設や運用の代替方法を戦略的に検討する機会をもっている。その機会には、後続のサブセクションで説明するように、環境への影響を軽減し、現場に存在する生物多様性リソースを活用してエネルギー出力を向上させ、建設および運用コストを削減することが含まれる。
送電網の開発においては、環境への影響とその後の紛争を最小限に抑えるために、初期段階の計画が不可欠である。最近の研究では、送電網の拡大と環境保護のバランスをとるための革新的なアプローチが浮き彫りになっている。中国では、変化する環境条件に対応し環境破壊を最小限に抑えるため、柔軟なルートレイアウト、生態学的回廊(コリドー)計画、持続可能な植生回復、および生物多様性保全措置を含む順応的管理アプローチを研究者が提案している(Yin et al., 2025)。ブラジルの研究では、地理情報システム(GIS)レイヤーとして空間的に表現するのに適した5つの環境基準と8つのエンジニアリング基準を導入し、空間的に明示的な送電線ルートのモデリングを可能にする持続可能な送電網ルーティングが推奨されている(Biasotto et al., 2022)。
重要なこととして、予測される影響を測定するための基準となる、プロジェクト開発前の地域の状態に関する情報を収集するために、計画プロセスの一環としてベースライン調査を実施すべきである(Biodiversity Company, 2023)。原則6で説明されているように、保全および回復措置の効果的な実施を確実にするためのもっとも重要なステークホルダーのひとつは地域コミュニティである。エコシステムの保全と回復には、表2(Kakani et al., 2024)に詳述されているように、環境的および社会経済的な複数の利益がある。
表2. 保全および回復活動と利益
| 保全・復元措置 | 便益 | |
| 1 | 地域の動植物への影響にもとづく立地選定・許認可上の配慮 | · 侵食の低減、周囲の気温低下、サイト排水の改善 · 開発・運用コストの削減 · 花粉媒介者の増加と生物多様性の向上 · サイト近隣の生態系の保全・復元に対するコミュニティの支持とインセンティブ付与 · 紛争リスクの低減によるプロジェクト期間の短縮の可能性 · 健全な環境慣行 |
| 2 | 在来種(動植物)の保全 | |
| 3 | 建設計画における復元活動(例:除去の最小化、在来種の再植栽) | |
| 4 | 強化措置(例:太陽光パネル間への花粉媒介者に優しい植物の植栽、太陽光パネルと屋上緑化の統合) | |
| 5 | 計画段階でのコミュニティ・その他ステークホルダーの参加確保のためのエンゲージメント、コミュニティ便益・所有スキーム | |
| 6 | 廃止措置および生態系復元計画(サイトからの完全な解体・撤去を確保するもの) |
植生の保全と回復による利益
エネルギープロジェクトの設計、開発、および運用に関する新しい考え方は、自然システムが提供する価値を考慮し、再生可能エネルギーと環境の両方に利益をもたらすことを目指している。太陽光エネルギーについては、現場で維持されているか、あるいは追加された在来植生が、用地造成のコストを削減し、パネルのエネルギー生産、ならびに敷地の排水、安定性、生物多様性を向上させる可能性がある。標準的な敷地造成技術や典型的な管理慣行を変更するには、計画と、その現場特有の制限の特定が必要である。しかし、それは現場の環境指標と持続可能性を変化させ、エネルギー生産を増加させ、開発および運用コストを大幅に削減できる可能性を秘めている。
現場での植生被覆の活用を検討する場合、植生への影響を軽減するための2つの広範なアプローチがある:1)建設を支援するためにバイオマスを削減しつつ植生を保持する。2)敷地または植生を除去し、敷地をならした後、建設後に在来植生を定着させる。どちらの選択肢も、太陽光発電所に環境的および物理的な利益をもたらし、プロジェクトのESG責任との整合性を高める。植生除去の代替案としての敷地の植生またはバイオマスの削減は、ローリング(圧延)、スラッシング、またはフレイルモーイング(粉砕刈り)によって達成できる。この最小化戦略は、再生と在来植生の活用を支援する。このプロセスは、敷地への攪乱を減らし、太陽光パネルの設置後に敷地を再生させることを目的としている。これらの技術を使用できるかどうかは、地形、植生の種類、および植物の密度に依存する。パネルの下の被覆を保持するか、あるいは更地にしてから定着させるかという、最初に選択された敷地造成方法によって、長期的な植生管理要件の種類が決定される。その具体的な利益は以下の通りである。
- 周囲温度
周囲の空気温度はパネルの機能に影響を与え、運用効率を左右する。温度が上昇すると、パネルの出力は10〜25%低下する可能性がある。PVと緑化屋根を統合したシステムにおける植物の蒸散による冷却効果はよく知られており、出力が最大8%増加したことが記録されている(Lamnatou and Chemisana, 2015)。パネルの下で背の低い植物を維持することは、微気候に良い影響を与え、温度を下げるとともに湿度を上げる可能性がある。植生被覆は、有機物の堆積と蓄積に寄与する。土壌炭素は土壌の健全性を支え、保水力を高め、その結果、周囲温度の低下を支援する。対照的に、植物のない土壌は熱源として機能し、温度を上昇させ、パネルの生産に悪影響を与える可能性がある。
- 粉塵管理
通常、太陽光発電所の敷地造成には、整地、すべての植生と生物学的土壌地殻(biological soil crusts, BSC)の除去が含まれる。これらの平らな開放されたエリアは、現場での機械や設備の移動を容易にし、効率的な建設活動を可能にする。しかし、このアプローチは粉塵公害も引き起こし、これは人々や太陽光パネルの機能に有害である。粉塵を管理するための代替ツールは自然の中に見出すことができる。背の低い在来植生は、敷地安定化の一形態として利用できる。この植生は、土壌粒子を結合させる根系、排水を改善するための土壌空隙率の増加、雨による侵食の影響を軽減するための地表面の被覆、フェッチ(遮るものなく風が吹く距離)を減らして風速と侵食ポテンシャルを低下させる。粗い表面など、敷地の安定化を支えるさまざまなサービスを提供する。乾燥地では、BSCと背の低い植生が組み合わさることで、土壌の安定性、炭素循環、および水浸透において重要な役割を果たす。BSCは、コケ、苔類、地衣類、および細菌を含む生物コミュニティであり、窒素の固定、土壌肥沃度の向上、雨水の吸収、流出の減少、土壌の結合、および侵食の低減といった重要な機能を持っている。BSCを低い植生被覆とともに維持することは、敷地造成中および太陽光発電所の運用寿命全体にわたって、粉塵の発生を減らす機会を提供する。
- 雑草管理
太陽光発電所の敷地内で在来植生を保持することは、雑草管理の必要性が軽減されるという利益をもたらす。完全に更地になった敷地は、攪乱された地域に急速に入り込むことができる日和見的な雑草種にとって新しい地表面を提供する。雑草は大量の降雨に反応して制御不能になり、パネルを覆い隠して生産に影響を与えるほどの大きさに成長する可能性があり、一度乾燥すると火災の危険をもたらすこともある。適切な敷地造成方法と在来種の組み合わせは、雑草の成長を大幅に抑制する競争相手となり得る。
- 生物多様性
太陽光発電所の敷地内で在来植生を保持したり、植生を確立したりすることは、生物多様性の維持を支え、さまざまな環境的利益をもたらす。太陽光発電所は、太陽光パネルの機能を低下させることなく、動物種の移動のための生息地や回廊(コリドー)を提供することができる。例えば、一列おきに植生回廊を配置して背の低い生息地を維持するような建設方法は、さまざまな動物に利用される可能性がある。この生物多様性の強化はESG(環境・社会・ガバナンス)の責任や保全の観点から捉えることもできるが、動物種は太陽光発電所に実際に利益をもたらすエコシステムサービスを現場で提供することもできる。例えば、爬虫類は小さな穴を掘ることで、大雨を吸収する土壌の能力に貢献する。生物は、植物質の分解、空隙率の増加、病気からの保護など、土壌の健全性を支えることができる。
- 排水と侵食
気候変動により、激しい降雨イベントの頻度が増加することが予想される。太陽光発電所の下の土壌が、侵食を最小限に抑えながら大量の水を吸収する能力は、今後、その重要性が高まるだろう。太陽光発電所の下での低い植生被覆、健全なBSC、および野生生物は、さまざまな機能を通じて土壌の排水を改善し、水による侵食を減らすことができる。機能しているエコシステムは、根系、動物の穴、および無脊椎動物の活動によって作られたハチの巣状の気泡から得られる膨大な排水能力を持っている。さらに、植生は水を吸収し、その根系は土壌粒子を結合させ、敷地の安定性を向上させる。
- コスト
太陽光発電所の準備にはかなりのコストがかかる。例えば、敷地造成をおこなうために必要な機械の種類は、プロジェクトコストに影響を与える。除去の代わりにバイオマスを削減し植生を保持することは、長期的な機械コストの削減につながる可能性がある(McCall et al., 2023)。さらに、管理したり捨てたりする土壌の量を減らし、粉塵管理に必要な散水車の数を減らすことでも、コストをさらに削減できる。敷地造成の積極的な計画と植生の管理は、時間の経過とともに敷地のメンテナンスを軽減し、利益を増やし、敷地内での植生管理のコストを削減することができる。
Box 5のケーススタディは、業界と環境の両方を支えるために活用でき、両者にかなりの付加価値を提供する共益(コベネフィット)が存在することを示している(Government of South Australia, 2021)。
Box 5
南オーストラリア州における在来植生の共益アプローチ
南オーストラリア州の3つの開発業者が共益アプローチを適用した。サイメック・エナジー・オーストラリアは、サクセッション・エコロジーと協力して、グレーディングを避け、ローリングを用いた敷地造成技術の実験を行った。その結果、3年以内に植生が元の多様性と被覆率まで再生できることがわかった。南オーストラリア州水道公社は、半乾燥地の元耕作地にある太陽光発電所のパネル下に、低い地表被覆を形成するために在来種の種子を散布し、成功を収めた。
イベルドローラはサクセッション・エコロジーと協力し、大規模なバイオマス削減技術を利用して在来植生やBSC(生物学的土壌地殻)への影響を軽減し、低い在来植生被覆の自然再生を支援した。これは当時、これほど大規模な(約120ヘクタール)手法の世界初の適用であり、イベルドローラは2021年に南オーストラリア州首相賞(エネルギー・鉱業部門 – 環境イノベーション)を受賞した。
開発業者は、太陽光および風力プロジェクトを、生物多様性と自然保護を強化するための積極的な対策と統合することを目指すべきである。Box 6 は、森林再生を統合したブラジルの太陽光プロジェクトの例を示している。Box 7 が示すように、自然の回復と強化策を組み込んだプロジェクトは、より高い地域コミュニティの受容を得ることもできる(Renewable Energy Magazine, 2024; ScottishPower Renewables, 2025)。金融機関は、環境基準を適応させることで、技術的支援を提供し、開発業者に圧力をかけることができる。再生可能エネルギーの企業調達には、野生生物や生息地への悪影響を回避するプロジェクトから再生可能エネルギーを購入することを確実にする基準を組み込むことができ、それによって気候と自然に関する持続可能性の目標を支援することができる。
Box 6
ブラジルにおける在来種の保護と森林再生をともなうメンドビンプロジェクト
ノルウェーの再生可能エネルギー企業であるスキャテックは、リオグランデ・ド・ノルテ州で531MWのメンドビン太陽光プロジェクトを運営している。このプロジェクトは、エクイノールおよびハイドロレインとのパートナーシップにより、ブラジルの約62万世帯分に相当する電力を供給する。
プロジェクトの一環として、スキャテックはカチンガ・バイオームの180ヘクタールの地域で森林再生をおこなっており、約30万本の在来種の苗木を植えている。カチンガ地域は水不足に関連する課題に直面しているため、植樹は雨季の間に3段階に分けておこなわれている。このアプローチにより、植栽プロセス中に灌漑を必要とすることなく、植物が枯れるリスクを最小限に抑えることができる。第3段階かつ最終段階の植栽は、2025年第1四半期に完了する予定である。その後、この地域は少なくとも3年間モニタリングされ、敷地の環境条件が維持されていることが確認される。
植栽は、メンドビンプロジェクトと同じ州(リオグランデ・ド・ノルテ州)の、以前は農牧活動によって劣化した地域で進められている。森林再生プロセスを支援するため、スキャテックは苗木の生産や土壌の準備から植栽までのプロセス全体を管理する地元組織と提携した。さらに、地域住民が植栽活動に積極的に参加できるようトレーニングを受け、地元の能力構築とコミュニティエンゲージメントを促進している。
Box 7
英国における泥炭地再生をともなうホワイトリー風力発電所
英国の再生可能エネルギー開発業者であるスコティッシュパワー・リニューアブルズは、スコットランドのグラスゴー近郊でホワイトリー風力発電所を運営している。これは英国最大の陸上風力発電所であり、83平方キロメートルにわたり、それぞれ2MWの容量を持つ215基の風車が設置されている。
プロジェクトの一環として、1000ヘクタール以上の泥炭地を再生するために180万米ドル以上が投資された。泥炭地の再生は、野生生物のための健全な生息地を再現し、洪水リスクを軽減し、水質を改善し、360万トンの二酸化炭素に相当する量を貯蔵することができる。王立鳥類保護協会(RSPB Scotland)は、業界をリードする泥炭地再生技術を評価し、2016年にスコティッシュパワー・リニューアブルズに持続可能な開発賞を授与した。
この風力発電所はまた、ビジターセンター、ウォーキングコース、マウンテンバイクコースなど、地域コミュニティに環境教育やレクリエーションの機会を提供している。このようなアプローチは、地域コミュニティと環境への明確な利益を示すことで、プロジェクトの地域的な受容性を高めている。
原則4:モニタリングと順応的管理
建設中、運営中、および事業期間終了段階におけるプロジェクトの潜在的な影響をモニタリングし、新しい情報に応じて状況を調整する必要がある。
生態系は常に変化し続ける複雑なものである。野生動物の移動や植物の成長に関する新たな知見が得られた際、それに応じて計画を修正できるよう、順応的管理のための技術を活用すべきである。生態系や地域コミュニティに及ぼしうる影響の全体像を把握するためには、プロジェクトの全ライフサイクル、さらにはその先までを網羅することが不可欠だ。モニタリングの範囲と規模は、それぞれの技術(陸上風力、洋上風力、太陽光など)に応じて決定される。これは、各技術に適用される法的要件や融資側の要求事項、規制を遵守すると同時に、考えうる最善の慣行を実践するためである。原則として、モニタリングは包括的な視点にもとづいておこなうべきであり、ローカルなボトムアップ型のデータ(iNaturalist、自動撮影カメラ、環境DNAなど)と、トップダウン型のアプローチ(リモートセンシング、ENCORE、IBATツールなど)の両方を活用する必要がある。こうした包括的な視点を持つことで、建設前、建設中、そして建設後における潜在的な影響を俯瞰的に捉えることが可能となる。
自然環境において一般的にモニタリングされる影響経路は、生息地、生物多様性、種(鳥類やコウモリ、海洋哺乳類、爬虫類や両生類、昆虫など)、排出物、土壌や海底下、水質などである。評価の一部となる社会的要因には、空間利用と土地所有権、先住民の権利と文化的遺産、社会経済的影響、公衆衛生が含まれる。
開発業者が、建設中、運営中、さらには事業期間終了段階にわたる、起こりうる影響の包括的な全体像を描くために、環境影響評価(EIA)または環境社会影響評価を義務づけるべきである。
政策経路
ドイツの法律では、連邦自然保護法にもとづき、再生可能エネルギープロジェクトに対するモニタリング要件を定めている。北海およびバルト海における洋上風力発電の空間開発計画といったセクター別の規制では、開発中および運用中のプロジェクトに対し、環境への潜在的な悪影響に関する広範なモニタリングを義務付けている。これには、主要な種群への影響、生息地の完全性、環境への物質的・非物質的な排出、景観のまとまり、あるいは生態系の調整機能に対する影響のモニタリングが含まれる。このモニタリングは許可手続きに直接組み込まれている。定められたモニタリング要件を遵守しないプロジェクトは、規制当局から承認を得られる可能性が低い。
南アフリカでは、国家環境管理法(NEMA)により、開発業者はプロジェクトの提案にモニタリング要素を含む環境管理プログラムを盛り込むことが求められている。同国の豊かな鳥類多様性を考慮し、鳥類用レーダーシステムを使用したコウモリや鳥類のモニタリングだけでなく、固有種や絶滅危惧種にも焦点が当てられている。
近年、モニタリング活動を改善するための高度なツールや技術が登場している。Box 8(Masdar, 2024)で述べられている通り、人工知能(AI)は生物多様性に関する成果を向上させる大きな可能性を秘めている。
Box 8
ウズベキスタンの風力発電所で鳥を守る人工知能
ウズベキスタンにある500メガワット規模のザラフシャン風力発電所は、110基の風車を備える中央アジア最大の施設である。この発電所が位置するのは、猛禽類が繁殖し、他にも数多くの種が渡りをおこなう地域だ。風車のブレード(羽根)は衝突のリスクを生じさせ、鳥類の生息地を脅かす可能性がある。そこで、アラブ首長国連邦を拠点とするマスダール社は、この風力発電所における生物多様性保護のためにAI技術を導入した。この技術は、付近を飛行する鳥を検知し、衝突の危険がある場合には風車を自動的に停止させ、安全が確認され次第運転を再開するものである。これは、生物多様性を守りながら風力エネルギーを生産できることを示す画期的な事例といえる。
原則5:耐用年数の延長
環境への影響を最小限に抑えるために、既存の再生可能エネルギー設備の耐用年数を延長することに焦点を当てる。
累積で見ると、再生可能エネルギーの発電容量は4,448GWを超えており、初期のプロジェクトの多くが耐用年数の終了を迎えている(IRENA, 2025)。例えば、陸上風力発電の場合、古い風車の耐用年数は20年であり、2030年までに約178GWの陸上風力発電が廃止されるか、リパワリング(設備の更新)が必要になることを意味している(IRENA Coalition for Action, forthcoming)。廃止はエネルギー安全保障を低下させ、生活や生計に影響を与え、気候目標からさらに遠ざかることにつながる。
既存のプロジェクトはすでに接続されており、優れた再生可能エネルギー資源を持つ地域に位置している。そのため、適切なメンテナンス、レトロフィット(改造)、および太陽光パネルや風車をより効率的なモデルに交換することによるリパワリングを通じて寿命を延ばすことは、新たな土地利用や接続の必要性を制限し、結果として環境への影響を最小限に抑える解決策となる。耐用年数を延長し、環境への影響を最小限に抑えるための手順は以下の通りである。
メンテナンス
メンテナンスは、再生可能エネルギープロジェクトの寿命と出力を最大化するための積極的な対策を指す。定期的な清掃、モニタリング、故障点検といった性能を最適化するための措置に加え、在来種の植生を整えることも有効である。これは「原則3:保全、復元、強化」で述べられている通り、過熱や粉塵を防ぐ効果があるためだ。
改修と補強
プロジェクトの構成要素を改修・補強することの実現可能性については、十分に検討されるべきである。これは、プロジェクトを完全に廃止してリパワリングをおこなうよりも、低コストかつ環境負荷を抑えた選択肢となり得るからだ(IRENA Coalition for Action, 近刊)。例えば、陸上風力発電プロジェクトにおける改修や補強では、基礎やタワーといった既存のパーツを一部再利用しつつ、耐用年数の過ぎた風車や、ブレード、ローター、ギヤボックス、ハブといった特定の構成要素を最新技術へとアップグレードする。こうした改修作業は数ヶ月で完了させることが可能であり、プロジェクトの稼働期間をさらに数年間延長できるだけでなく、アップグレードによって施設のエネルギー出力が向上する可能性も秘めている。
技術の進歩を考慮すると、部品の陳腐化によって補修が必ずしももっとも効率的な選択肢とはならない場合がある点に注意が必要である。そのような状況では、リパワリングをおこなうべきである。改修や補強における主な課題は、収益性の高いビジネスモデルやインセンティブの確立が必要であるという経済面と、修理された部品の長期的な堅牢性に対する信頼の欠如という信頼性の面にある(REN21, 2023)。認証制度や規格の策定、そして技術トレーニングの実施は、改修や後付けのより幅広い活用を可能にするカギとなるだろう。
リパワリング
歴史的に、初期の再生可能エネルギープロジェクトは、資源の豊富な最高の立地に建設されている。太陽光や風力発電の設備がその寿命を迎え、改修や補強がもはや現実的な選択肢ではなくなった際には、旧設備の撤去をおこない、既存の敷地に最新のより効率的なパネルや風車を導入する「リパワリング」を実施すべきである。リパワリングは、すでに存在するインフラや送電網への接続、土地利用に関する合意、そして地域住民の支持を活用できるという利点がある。また、新たな再生可能エネルギープロジェクトのために追加の土地を確保したり、インフラを新設したりする必要性を抑えられるため、既存の敷地を最大限に活用することが可能となる(IRENA Coalition for Action, 近刊予定)。
さらに、再生可能エネルギー技術における継続的な革新と技術向上も重要である。例えば、太陽光パネルの高効率化、風車のハブ高の引き上げやローター径の拡大などは、同一地点でのエネルギー収量を増加させることが可能だ。これにより、未開発地を新たに開発する必要性がさらに低減する。また、リパワリングをおこなうことで、地域コミュニティへの利益還元を維持できるとともに、既存の敷地内における環境面でのベストプラクティスも引き続き遵守される。
陸上風力発電プロジェクトは、一般的に20年で寿命を迎える。これにともなうリパワリングでは、風力発電システムのすべての構成要素を交換する。これには、タワーや基礎部分を含め、既存の風力発電プロジェクトの設備を完全に解体・交換する作業が含まれ、完了までに2年近くを要することもある。稼働停止時間を最小限に抑えるため、風力発電所の設備更新は段階的におこなわれる場合がある。風車の高さは増すものの、設置台数の削減やタービン間の距離の確保によって、景観への全体的な影響は抑えられる。これにより、周辺地域からの反対運動を軽減できる可能性があるほか、新たな土地の取得や開発の必要性も低下する。新型の風車は旧型に比べて効率的に設計されており、騒音公害も抑えられるため、地域コミュニティや生物多様性にとってもメリットがある。Box 9では、インドにおける小規模設備の更新事例を紹介する。
Box 9
インド・タミルナドゥ州における風力発電のリパワリング
インドの風力発電は、発電ベースのインセンティブ、税制優遇、固定価格買取制度(FIT)などの支援的な政策環境に支えられ、1990年代半ばから急速な発展を遂げた。タミルナドゥ州は、有利な風洞と初期の政策イニシアティブにより、2025年3月時点で11.7GWの風力設備容量を有するリーダーとして台頭した。タミルナドゥ州の設備容量のほとんどは風力発電開発の初期に遡るものであり、効率の低下、ダウンタイムの増加、および安全リスクの高まりをともなう旧い技術にもとづいている。それらは一等地の風力サイトを広大な範囲で占拠しているが、最適な電力出力を提供できていない。リパワリングは、再生可能エネルギーの出力を増加させ、すでに利用されているサイトの可能性を最大限に引き出すという二重の利益をもたらす必要不可欠なものである。
タミルナドゥ州はインドの繊維市場の約半分を占めている。繊維工場は、コストと電力供給を安定させるために風力エネルギーを利用して近代化するための政府の支援を受けた。2000年代初頭、綿糸を生産するナラス・スピニング・ミルズは、250kWの風車を3基設置した。しかし、時間の経過とともに、予備部品の不足やメンテナンス支援の欠如によりは、風車は故障しはじめた。
2021年、詳細な実現可能性評価が実施された。当初の計画では500kW級の風車へのアップグレードが予定されていたが、系統接続容量の制約により断念せざるを得なかった。最終的にナラス社は、Siva 250/50型風車を選択した。このモデルはピッチ制御システムを備えており、ブレードの角度を調整することでローター回転数を最適化し、より優れたエネルギー出力を実現できる。近隣の風車所有者から必要な「異議なし証明書(No Objection Certificate, NOC)」を取得した後、同社は同じ敷地内での再設置を進めた。リパワリング以降、年間発電電力量は2倍以上に増加した。これは、リパワリングが設備の効率と信頼性をいかに回復させるかを証明するかたちとなった。しかし、この地域でリパワリングを全面的に普及させるためには、重点的な支援政策やステークホルダーの支持、そして民間セクターの参加が不可欠である。

廃棄:保全および復元の方法
プロジェクトの完了後、その用地は設備のリパワリングをおこなうか、あるいは撤去して元の状態に復元することになる。リパワリングは、気候や自然環境にとってより良い結果をもたらすことが多く、優先的に検討されるべきである。しかし、プロジェクトの計画段階では、耐用年数終了時の撤去および用地復元についても考慮しておかなければならない。これには、廃棄物管理の手法、財務面への影響に関する計画、役割と責任の明確化などが含まれる。計画を策定することで、プロジェクト終了後の用地のあり方について、地方自治体や地域住民、その他のステークホルダーに対して明確な指針を示すことができる。長年にわたる運用の過程で、地域コミュニティやエコシステムがその再生可能エネルギープロジェクトに依存するようになる可能性があり、プロジェクトの終了が予期せぬ影響を及ぼすことも考えられる。例えば、太陽光発電設備が水不足に悩む土地や特定の農作物、畜産業に対してプラスの効果をもたらしているという研究結果もある。一方で、適切な撤去や用地復元、廃棄物管理がおこなわれなければ、環境汚染を招き、健康や安全を脅かすリスクが生じる。個々のプロジェクト用地や採用されている再生可能エネルギー技術に応じて、設備の撤去が生物多様性に与える影響と、撤去後に用地を復元するためにインフラを維持した場合の影響を比較・評価し、最適なアプローチを検討する必要がある。したがって、プロジェクトの開発計画には、早い段階から用地の撤去に関する検討事項を盛り込んでおくべきである。
サーキュラーエコノミー
資源とエネルギーの利用を最適化するにあたっては、サーキュラーエコノミーの原則を指針とすべきである(図5参照)。企業は、一次原料の使用を最小限に抑え、材料の再利用とリサイクルを最大化する循環型アプローチの適用に注力する必要がある。それと同時に、サプライチェーン全体を通じた原材料の倫理的な調達を確実におこない、耐用年数を終えた機器の廃棄にともなう影響を管理することも求められる。
図5. サーキュラーエコノミーの原則

エネルギー貯蔵能力の拡大やインフラ整備に不可欠な重要鉱物に関しても、自然生息地の破壊やその他の弊害を回避するために、大幅な改革と積極的な法執行が求められている。Box 10では、太陽光および風力発電技術における、エネル・グリーン・パワーのサーキュラーエコノミーへの取り組みについて述べる(Enel, 2023)。
Box 10
チリおよびその他の地域における廃棄物ゼロイニシアチブ
2020年、多国籍再生可能エネルギー企業であるエネル・グリーン・パワーは、請負業者や地域コミュニティと協力して、再利用を最大化し、リサイクルを改善し、優れた慣行を促進することで、建設現場や発電所での廃棄物を削減することを目的とした廃棄物ゼロイニシアチブを開始した。
イノベーションチームは、特に2030年以降の廃止を見据えて、太陽光および風力のインフラが耐用年数を迎えるにあたり、ライフサイクル全体で再生可能エネルギー技術の循環型管理を実装する方法を積極的に模索している。
太陽光発電については、Photoramaプロジェクトが太陽光パネルから貴重な材料を回収し、生産チェーンで再利用している。チリでは、2nd Lifeプロジェクトが太陽光モジュールの故障を調査し、使用されなくなったパネルを新しい方法で再利用する方法を模索している。
風力エネルギー分野では、Wind New Lifeプロジェクトを通じて、風車のブレードをリサイクルする際の技術面および産業規模での実現可能性について検証がおこなわれている。他にも、細断したブレード素材を異なる産業分野で再利用するための試験的な取り組みが進められており、これらは他の公益企業や業界団体と協力して展開されている。こうした一連の取り組みは、持続可能な設備解体に関する広範な提言活動に役立てることを目的としている。
エネル社はまた、機器やスペアパーツを対象としたNew Lifeプログラムを開始した。これは、廃止された発電所の設備や倉庫の在庫、リパワリングプロジェクトで生じた物品を再利用することを目的としている。これらの部品は、社内で再利用されるか、売却あるいはリサイクルに回される。
包括的原則6:地域主体の参加
コミュニティや地域のステークホルダーのかかわりと参加は、プロジェクトの初期段階からすべてのフェーズを通じて不可欠である。強固な参加型プロセスを構築することで、正当性と市民の支持が得られ、地域の知見を統合できるだけでなく、地域の関係者が確実に利益を得られるようになる。
上述した5つの原則は、いずれも意思決定プロセスにおいて地域コミュニティや現地の関係者のかかわりと参加を組み込む必要がある。これらすべての側面において、社会的な受容を得ることが不可欠である。地域の知見を取り入れることは、生態学的に繊細な地域や文化的に重要な場所を避け、混乱を最小限に抑える上で有益である。地域コミュニティとのかかわりは、女性、若者、そして疎外されたコミュニティの有意義な参加を保証するよう、包摂的で現地の状況に合わせたものであるべきだ。こうしたアプローチをとることで、地域社会との公平な利益配分が確保され、紛争のリスクも軽減される(IRENA Coalition for Action, 2024)。
再生可能エネルギープロジェクトの認可対象となる土地において、地域コミュニティは通常、その土地の利用者、受益者、あるいは受託者という立場にある。そのため、彼らの協力を得ることは、より効果的な環境保全や復元活動の実施につながる。開発事業者や政府は、保全・復元活動を効率的におこなうための現地の知識や技術が不足している場合があるが、こうした側面については、コミュニティやその他の地元の利害関係者が主導することが可能だ。このような関与を通じて、コミュニティが再生可能エネルギーの開発を推進すると同時に、地域のエコシステムの保全や復元にも取り組むための動機付けがなされるべきである。また、コミュニティに責任を持たせると同時に、プロジェクトは社会インフラの整備や地域の経済発展といった直接的な利益ももたらす必要がある。これにより、プロジェクトにともなう環境的・社会経済的な利益とコストの双方が、多様な利害関係者に適切に分配されることになるのである。
再生可能エネルギーを含め、いかなる場所に計画されるインフラプロジェクトであっても、現地の社会経済や環境側面と相互に影響し合うものである。プロジェクトは地域に受け入れられるだけでなく、社会的な結束を築く役割も担う。そのため、立地選定や認可に携わるステークホルダーは、プロジェクトが地域の経済や生態系をかたちづくる上で果たす役割を認識しなければならない。地域コミュニティは現地の状況を深く理解しており、地域の資源利用に関するあらゆる側面から直接的な影響を受ける立場にある。再生可能エネルギープロジェクトが土地、水、生物多様性といった現地の天然資源を利用する場合、プロジェクトを成功させるカギはコミュニティとのかかわりにある。再生可能エネルギープロジェクトの立地や認可に関する評価は、技術的・財務的な指標にとどまるべきではない。現地の社会的なパフォーマンスやコミュニティのニーズまでを含める必要がある(IRENA Coalition for Action, 2024)。
政策経路
地域のステークホルダーは、自らがプロジェクトのプロセスの一部であると実感できれば、その開発に参加し、それを受け入れる傾向がある(IRENA Coalition for Action, 2024)。コミュニティや地域の関係者は、計画段階で意思決定に影響を与えることができ、運用段階ではその利益を享受できるべきである。早い段階からコミュニティとかかわりをもつことは、協調関係を育むことにつながる。それにより、紛争や法的紛争のリスクが軽減され、結果として多額の費用をともなう遅延を回避できる。
適切なコミュニティエンゲージメントを義務付ける政策が数多く存在する。「自由で事前の、十分な情報に基づく同意(Free, Prior and Informed Consent, FPIC)」は、国連先住民族権利宣言(UNDRIP)、生物多様性条約、および国際労働機関(ILO)条約によって認められた権利である。例えば、シエラレオネの法律では、あらゆる産業プロジェクトにおいてFPICが義務付けられている(SierraLii, 2022)。また、カナダの先住民族権利枠組みにおいても、再生可能エネルギーを含む自国内のプロジェクトに対してFPICを求めている(カナダ政府, 2021)。コミュニティエンゲージメントの主な側面には、以下の内容が含まれるべきである。
- 市民参加は、可能な限り早期の段階で実施すること。
- 法的義務への対応と並行して、可能であればステークホルダーとの非公式な対話も行うこと。
- 市民参加は透明性を確保し、地域の文化的・社会的背景に適したかたちでおこなう必要がある。特に立地選定や許可手続きの複雑さを考慮し、情報へのアクセスを容易にし、分かりやすい説明を添えること。
- 地域住民や先住民族の効果的な関与と合意、自由意思にもとづいた事前の十分な情報提供による同意(FPIC)、苦情処理メカニズム、相談窓口を確立し、彼らが主体的な意思決定者となれるようにすること。
- 地域コミュニティとの共同所有や利益還元を実現すること。
- 再生可能エネルギープロジェクトと地域の双方に利益をもたらすよう、地域の知見を取り入れること。
- プロジェクトが環境や社会経済に与える影響(予測および実績)を伝え、マイナスの影響を最小限に抑えつつ、プラスの利益を最大化する方法を模索すること。
Box 11 は、開発者と地域社会が連携することで、環境を保全しつつ、いかに再生可能エネルギーの拡大を達成できるかを示している。一方、Box 12 は、適切なデータと包括的なステークホルダーの関与があれば、送電網に対する幅広い支援を得ることが可能であることを示している(Ruiten et al., 2023)。
Box 11
日本における太陽光発電プロジェクトに隣接する湿地を保護するための協働
2017年、岐阜県の住宅地近郊において、2MWの太陽光発電事業が計画された。しかし、建設予定地が住宅地に隣接していることに加え、希少な植物が自生する湿地が含まれていたことから、住民団体による反対運動が起こった。事業者と地域住民との間で協議が重ねられた結果、湿地を保護し、太陽光パネルの設置面積を縮小することで合意に至った。こうして、この太陽光発電所は2019年に完成を迎えた。
その後、地域住民はこの湿地を保護するために新しい団体を結成した。この団体は、湿地を観察するための木道を整備し、地元の小学生を対象とした自然観察プログラムを提供している。事業主体もまた木道の建設に協力し、湿地の保護に寄与した。こうした取り組みが実を結び、この湿地は2023年に環境省から「自然共生サイト」として認定され、2024年にはOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)として登録された。
Box 12
オランダの系統インフラ立地における共同設計プロセス
オランダ政府が進める洋上風力発電所周辺の送電網強化の一環として、ドイツ・オランダの送電事業者であるテネットは、2008年にオランダ国内で「南西380キロボルト東送電網」を整備した。このプロジェクトにおいて、テネットはインフラの設置場所に関する意思決定に市民や多様なステークホルダーを関与させる「共同設計プロセス」を導入した。この取り組みには、送電路の選定や具体的な接続地点の決定に加え、環境影響評価に向けた評価基準や評価案の共同策定などが含まれている。
公開説明会やワークショップには約700名の市民が参加し、ルート上の懸念事項や選好、潜在的な問題点について意見を寄せた。こうした対話の結果、ルートの一部が変更されたほか、共同設計のプロセスを経て新しい送電鉄塔のデザインが採用された。その成果は、十分な根拠にもとづいた実用的なものであり、予算内に収まっただけでなく、市民からも広く支持を得るものとなった。
4. 課題と障壁
立地選定や許可申請のプロセスにおいて、前述の原則や勧告を採用・実施するすべてのステークホルダーは、さまざまな課題に直面する可能性がある。本セクションでは、再生可能エネルギーおよび送電網インフラの立地選定に、自然環境への配慮を組み込む際の一般的な要因と制約事項について述べる。これらの障壁に対処し、その影響を緩和することはきわめて重要である。それは、再生可能エネルギーが世界のエネルギー構成において比率を高めるだけでなく、導入の拡大にともなって生態系の保全と地域コミュニティのウェルビーイングが確実に守られるようにするためだ。この点は、特に新興市場や開発途上国において重要な意味を持つ。
データの不足と認識の低さ
大きな課題のひとつは、地域の生態系や生物多様性に関するデータが全体的に不足していることである。この制約により、徹底した環境影響評価の実施が妨げられ、情報にもとづいた適切な立地選定を困難にしている。加えて、再生可能エネルギーの導入と、生態系の健全性や地域コミュニティのウェルビーイングとの密接な相関関係について、政策立案者や開発者、そして一般市民の認識が不足していることも多い。再生可能エネルギーは炭素排出量の削減に不可欠であると見なされている。しかし、それが生態系や地域コミュニティに与える累積的な影響については、いまだ完全には解明されておらず、さらなるデータ収集と分析が必要である。
データ収集や意識啓発キャンペーンへの投資には初期費用がかかるものの、このアプローチは長期的な環境悪化や経済的損失を防ぐ助けとなる。人々の意識が高まれば、より情報の裏付けにもとづいた意思決定が可能になり、プロジェクトに対する人々の支持もより強固なものになるだろう。また、累積的な影響に焦点を当てた生態学的研究や、能力構築プログラムを支援するための資金提供も不可欠である。
政治的意志
環境面でのベストプラクティスを導入し、成果を上げられるかどうかは、政治的なコミットメントの強さに大きく依存している。政府、および関連する規制当局や機関には、単にエネルギー転換を推進するだけでなく、再生可能エネルギープロジェクトが環境や地域の価値を高めるものであることを保証する「政治的意思」を示すことが求められている。
強力な政治的コミットメントがあれば、規制プロセスを効率化し、対立を緩和させ、国際的な信頼性を高めることが可能である。持続可能な開発がもたらす長期的な利益は、一般的に政策実施にともなう短期的なコストを上回る。政治的な意欲とコミットメントを向上させるためには、環境や社会への配慮を重視し、政府機関同士の協力を後押しし、促進するような政策枠組みが必要である。
多様なステークホルダーとの合意形成
再生可能エネルギーのプロジェクトには、地域社会や先住民、環境団体、産業界の関係者など、多様なステークホルダーがかかわることが多い。これらのグループは、優先事項や影響力の大きさがそれぞれ異なるため、合意を形成することは容易ではない。もし合意に至らなければ、プロジェクトの遅延やコストの増大を招くだけでなく、最悪の場合、中止に追い込まれる可能性もある。
早い段階から有意義なかたちでステークホルダーとかかわることは、紛争の回避や地域コミュニティの支持獲得につながり、プロジェクトのリスクや遅延にともなうコストの削減に役立つ。エンゲージメントの質は多くの要因によって定義されるが、なかでも特に重要なのは、相互の信頼と配慮にもとづいた対話形式であることだ。そのため、開発者や政府がステークホルダーのかかわりやマッピング、参加型の計画策定プロセス、そして紛争解決戦略を効果的に遂行できるよう、専用のリソースやトレーニングを確保する必要がある。
コスト要因
環境面でのベストプラクティスの実施には、計画、技術、モニタリング、および法執行に関連する追加コストが発生する可能性がある。新興市場や発展途上国では、これらの慣行に対する資金的な制限、技術へのアクセスの制限、および熟練した専門家の不足に直面する場合があるが、先進国市場では、これらの要因がすでにビジネスケースに十分に織り込まれていることが多い。
新興市場において、環境保護のベストプラクティスに関連する費用は、初期段階では高くなる可能性がある。しかし、この分野への投資は、環境破壊、法的責任、地域コミュニティからの反発、そして評判の悪化を回避することにつながり、長期的にはコストの削減をもたらす。また、持続可能なプロジェクトは、外国投資や公的支援を引きつける可能性もより高まるのである。
既存政策の複雑さと断片化
環境保護や再生可能エネルギー規制に関する政策は、多くの場合、複雑でさまざまな政府機関や行政レベルに分散している。とりわけ、既存の枠組みが洋上風力発電といった個別の技術特性を十分に考慮していない場合、その傾向は顕著である。
こうした断片化や不整合は、混乱を招くだけでなく、規制の重複や空白を生じさせる。その結果、プロジェクトの計画や実行段階において、環境への配慮を効果的に組み込むことが困難になる。政策を簡素化し、整合性を持たせることで、事務的な負担が軽減され、プロジェクトの承認プロセスが迅速化する。さらに、コンプライアンスの遵守率も向上し、政府と開発事業者の双方にコスト削減をもたらす。これには初期段階のトレーニングや能力構築の強化が必要となることが多いが、長期的に見れば、こうした投資は概して市場の健全な発展につながるものである。
効果的な実施のための限られた能力
強力な政策やベストプラクティスがあったとしても、それを実際に運用・実施するのは依然として大きな課題である。組織的能力や専門的知識、そして法の執行メカニズムの不足などが問題として挙げられる。さらに、透明性の欠如が効果的な実施を妨げる要因にもなり得る。
実施体制と法執行を強化することは、環境目標の確実な達成につながり、環境悪化のリスクやそれにともなうコストを低減させる。また、効果的な実施は人々からの信頼とプロジェクトの正当性を高め、金融機関に対しては信頼性を示すシグナルとなる。その結果、プロジェクトの実現可能性に対する信頼が向上し、財務上のリスクも軽減される。これを実現するためには、規制当局の組織的な能力構築や研修プログラムの実施、さらには人員増員のための予算確保が必要になるだろう。
公平な競争条件の創出
生態系に関するコストと便益の算出は困難であり、再生可能エネルギープロジェクトの経済性評価において軽視されることが少なくない。環境的な外部性を考慮しなければ、プロジェクトの経済的妥当性が実際よりも高く見積もられてしまう可能性がある。その結果、生態系サービスや生物多様性を過小評価する意思決定を招く恐れがあるのだ。
環境およびそれに関連する社会的コストと便益を考慮に入れることは、プロジェクトの実現可能性をより正確に評価することにつながり、真に持続可能なプロジェクトへの投資を促進する。このアプローチは、環境復元や生態系サービスの喪失にまつわる将来的なコストを回避する上でも有効である。したがって、生態系サービスを評価するための手法の開発と採用が必要である。それと同時に、経済学者や計画立案者へのトレーニング、さらには環境コストの内部化に焦点を当てた政策手段(税制、補助金、あるいは生態系サービスへの支払い制度など)の整備も求められる。
5. 提言
再生可能エネルギーと送電網インフラの導入を加速させるには、障壁を取り除き、諸原則を効果的に適用するための枠組みの整備と支援体制が必要である。具体的な政策提言を以下に記す。
統合的・分野横断的アプローチ
- エネルギー開発計画や「国が決定する貢献(NDCs)」を、気候、生物多様性、持続可能な土地管理に関する国際目標と整合させる統合的なアプローチが求められている。これは、地域、国家、および地方自治体の各レベルにおいて必要である。持続可能な開発目標の達成、温室効果ガスの排出削減、そして生物多様性の損失や土地の劣化の阻止において、自然、エネルギー、気候という各視点は互いに依存し合っている。そのため、公的機関、民間セクター、市民社会組織など、エネルギーと環境双方のステークホルダーによる、より強力な関与と連携が不可欠だ。また、統合的なエネルギー計画においては、原材料の需要から、立地選定や許認可、さらには設備の撤去や再生可能エネルギー技術の耐用年数終了後の管理に至るまで、バリューチェーン全体の進捗がもたらす影響を考慮しなければならない。
- 再生可能エネルギーの計画におけるごく初期の段階から、セクターを越えた連携を可能にすべきである。これは、当初の目標を実行可能かつ費用対効果の高い方法で達成し、環境や生物多様性への回避可能な被害を防ぐためである。エネルギー部門と、環境、土地利用計画、農業に関連する他部門との調整を改善する必要がある。規制当局やエネルギー開発事業者は、自然への影響を評価するために保全団体や専門家を関与させ、モニタリング計画や緩和・復元措置を策定し、実行すべきである。再生可能エネルギープロジェクトのライフサイクル全体を通じて、エネルギー技術者、生物多様性の専門家、および地域の関係者が関与するチームワークは、良好な結果をもたらすことが証明されている。政策や解決策は現地の状況に合わせて調整し、地域コミュニティへの利益を最大化しなければならない。
- ネイチャーポジティブなエネルギー開発を主流化するためには、金融および政策ツールをそれと足並みを揃えたものにする必要がある。再生可能エネルギーの投資家や開発事業者は、計画や投資判断のきわめて初期の段階において、生物多様性への影響、ならびに社会的・環境的リスクの評価を組み込まなければならない。金融機関や国際開発銀行は、投資基準を生物多様性条約に適合させるべきである。これらの基準は、入札プロセスやエネルギーオークションに盛り込むことが可能だ。また、再生可能エネルギーを調達する企業は、その調達方針に生物多様性への配慮を含めることができる。さらに、生物多様性への取り組み、および環境や社会に与える影響に関する、企業の開示と報告を改善していくことが重要である。
能力の強化、科学的および地域の知見の統合
- 強固な環境管理を実現するためには、データ、さらには科学的知見と地域固有の知識を組み合わせた技術イノベーションを拡大することが不可欠である。AIによって強化された技術イノベーションやデジタルツール、プラットフォームの活用は進んでおり、環境面での成果を管理するために、これらをさらに普及させ、すべてのステークホルダーが利用できるようにすべきである。これらには、自然環境が脆弱な地域を示すインタラクティブマップや、在来種への悪影響を避けるためのモニタリングおよび順応的管理、さらには鳥類の渡りのパターンといった予測技術などが含まれる。自然環境の脆弱性マップを活用すれば、政策立案者やプロジェクト開発者は、再生可能エネルギーシステムや関連する送電網インフラが環境や生態系に及ぼしうる相互作用や影響の度合いを特定しやすくなる。こうしたツールは、現地の状況にあわせて、適切なデータ入力にもとづいて運用する必要がある。そのためには、専門機関や現地のステークホルダーとの継続的な協力が欠かせない。
- 責任ある立地選定と許認可プロセスを確実なものにするためには、地域コミュニティとのかわわりと、現地の知見を活用することが不可欠である。これには地域のステークホルダーとの協力が必要であり、特に先住民グループや地域コミュニティ、女性、若者といった、相対的に立場の弱い人々の声に耳を傾けなければならない。ネイチャーポジティブなエネルギーソリューションは、その土地固有の状況に依存するものであり、地域コミュニティの有意義な参加と合意があってはじめて、長期的な成功を収めることができる。生態系の復元措置を統合することは、地域社会に具体的な利益をもたらし、社会的な受容性と正当性を高めることにつながる。また、透明性を確保し、説明責任を果たすことは、地域コミュニティとプロジェクトの間に信頼関係と前向きな相互作用を構築する。エネルギー開発事業者は、地域コミュニティや自然保護団体、生物多様性の専門家、政策立案者と連携し、自然保護区や遺産登録地を特定した上で、コベネフィットを引き出すよう努めるべきである。
- 再生可能エネルギープロジェクトや地域コミュニティにとって、生物多様性と生態系の改善がどのような価値を持つのかを完全に理解するためには、さらなる研究が必要である。こうした研究成果は、エネルギー・環境当局が持続可能な立地選定や許認可の実務をさらに推進する上で、強力な根拠となる。また、健全な生態系とそのサービスがもたらす恩恵について、民間セクターや市民社会の意識を高めることも重要である。生物多様性と再生可能エネルギーインフラの関連性、そして双方に利益をもたらす戦略のための既存技術や手法、解決策についての理解を深める必要がある。そのためには、一般向けのキャンペーンや、政策立案者、エネルギーおよび生物多様性の関係者を対象とした能力構築といった、共同の取り組みが不可欠である。
プロセスの合理化
- 政府は、環境面への配慮を損なうことなく再生可能エネルギーの導入を加速させるため、効率的な認可プロセスを可能にする優先区域を定義すべきである。国家レベルの戦略的環境アセスメントによって、プロジェクト単位のアセスメントを補完する必要がある。それにより、環境への影響が最小限に抑えられる区域や、二重利用による相乗効果が期待できる区域をあらかじめ予測しておくべきだ。こうした合理的なアプローチを採用することで、再生可能エネルギーの設置場所の選定や、認可プロセスの迅速化が可能となる。
- ワンストップショップ方式の導入は、開発者に対して明確な指針を提供することになり、立地選定や許認可の手続きを効率化できる。また、これらの手続きにおいて、より正確で説明責任のある意思決定をおこなうためには、標準化を推進する必要がある。影響を回避・最小化するために効果的な生物多様性保護策や環境影響緩和措置を講じることは重要であり、さらに、最終的にポジティブな効果を得るためには、どうしても残ってしまう影響をオフセットすることも不可欠である。渡り鳥などの移動性野生動物や、相互に連結した生物多様性生息地といった特定のテーマについては、その調査手法、データ収集、および規制を、地域レベルあるいは広域レベルで一致させ、整合性を図るべきである。
- 再生可能エネルギーを普及させる過程で、関連するすべてのステークホルダーを導くためには、本稿で概説した原則にもとづく実践的なツールが必要である。既存の研究を基盤とし、政策立案者、金融機関、および再生可能エネルギー開発者が具体的な実施策を講じられるよう、ツールボックスを整備すべきである。これらの施策は、現地の状況や投入可能な資源に合わせて調整されるべきものである。それによって、生物多様性の損失を食い止め、回復へと転じさせながら、再生可能エネルギーの導入を首尾よく加速させるための指針となる。
付録 1. ステークホルダー、その動機、および相互作用
| ステークホルダー | 役割 | 動機 | 相互作用 | 行動する権限 |
| 国際機関・地域機関 | 促進者、資金提供者、招集者 | 再生可能エネルギー技術の導入を通じた気候変動の緩和の推進 | 中央政府、NGO、民間セクター | 任意 – ナラティブ・原則の策定 政策立案への情報提供 財政的・技術的支援および能力構築支援 |
| 中央政府 | 資金提供者、促進者、招集者 | 再生可能エネルギー導入の促進 排出削減の達成 戦略的方向性の提示 インフラの計画 エネルギーアクセスの確保 経済機会の創出 | 地方政府・当局、開発事業者、電力会社、系統運用者、産業界、業界団体、NGO、規制当局、計画機関、開発事業者、投資家 | 法定 – 政策立案、実現環境の整備 義務・インセンティブ・罰則の策定 保護区域の指定 |
| 地方政府・当局 | 招集者、計画者、資金提供者、促進者、執行者、統合者 | 法的要件の遵守およびエネルギー転換に対する政治的意思・関心の醸成 エネルギーアクセス、信頼性、手頃な価格の確保 | 開発事業者(住宅組織・エネルギーコミュニティを含む)、住民、計画機関、地域コミュニティ・先住民、NGO | 法定 – (国・政治的文脈により異なる) プロジェクト開発者としての活動/プロジェクト開発の支援 ステークホルダー間の招集者としての活動、地域・国の当局との連携 電力の公共調達 |
| 国家規制当局(NRA) | 規制者、執行者 | 定められたプロセスへの適合確保および新たなプロセスの策定 価格・市場メカニズムの設定 | 中央政府、地方政府、地域コミュニティ、NGO、開発事業者、プロシューマー | 法定 – パブリックコンサルテーションの実施および各種ステークホルダーの意見聴取 規制の執行およびコンプライアンスの監視 |
| 計画機関(送電系統運用者(TSO)および配電系統運用者(DSO)を含む電力会社) | 計画者、統合者 | エネルギー供給の接続性および系統安定性の確保 | エネルギー計画者(国/地域)、国・地方当局/開発事業者 | 法定 |
| 開発事業者 | 計画者、実施者、招集者 | 再生可能エネルギー発電所の開発・運用 資産の維持管理 電力の販売 収益の創出 | 中央政府、地方政府・当局、投資家、計画機関、生産者/サプライヤー/設置業者/請負業者(PSIC)、産業団体、地域コミュニティ・先住民 | 法定 – 発電・送電インフラの計画、発電スケジューリング 任意 – 地域住民の参加促進およびコミュニティ便益の実現 |
| 投資家 | 資金提供者 | 再生可能エネルギー導入の促進 収益の創出 リスクの分散 | 開発事業者、PSIC | 任意 – プロジェクトの実績評価、開発事業者の慣行の監視 |
| PSIC(生産者/サプライヤー/設置業者/請負業者) | 実施者 | 再生可能エネルギー製品・部品の導入向け供給 | 開発事業者 | 任意 – サービス要件の充足 |
| 産業団体 | 促進者、招集者 | 再生可能エネルギー導入のための優遇政策・インセンティブ等の提唱 | 中央政府・地方政府 | 任意 – 政策・インセンティブに関するアドボカシー |
| 地域コミュニティ・先住民、地域のステークホルダー(例:地元企業、漁業者、農業者、観光業) | 促進者、共同開発者、影響を受ける当事者 | プロセス/最終結果への影響力の確保 コミュニティの利益(金銭的・非金銭的便益) 生計の確保 | 開発事業者/TSOまたはDSO、地方政府、環境NGO | 法定および任意(国・政治体制により異なる) |
| プロシューマー | 共同開発者 | 電力へのアクセスと信頼性、収入の創出 | 電力会社 | 法定および任意(国・政治体制により異なる) |
| 環境関連の国家当局 | 規制者、招集者、促進者、計画者 | 環境・生態系の保護 | 地域コミュニティ・先住民、NGO、国・地方政府 | 法定 – 環境許認可の要求、モニタリング |
| NGO | 招集者、促進者、計画者、提唱者 | 公共の利益、影響を受けるコミュニティおよび自然保護に関連する利益の代弁 | 地方政府、コミュニティ、開発事業者/TSOまたはDSO | 任意 – 国際・地域機関、政策立案者、規制当局・行政機関への情報提供 国・地方の政策への情報提供 コミュニティの利益および生態系の保護 プロシューマー、産業団体、開発事業者への教育・啓発 |
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